第7回 高校生のための国際理解セミナー
第7回 高校生のための国際理解セミナー
毎年夏と冬に行われている高校生のための国際理解セミナー(通称グローバルセ
ミナー:グロセミ)を今期も12月25日(土)と26日(日)の2日間、全国から本学に集まった高校生20名を対象にセミナーを実施しました。今回のテーマは「難民」。難民支援協会の事務局長さんをお迎えしてのお話や、額に貼られたシールをもとにした「仲間探しゲーム」、インタビュー映像などをもとに難しいテーマながらも高校生たちは真剣に語り合いました。
また、25日(土)夜の交流会では、先月号でお伝えした多文化バンド“BLANK”によるライブも上演。「島唄」「風になりたい」といた楽曲を、沖縄方言や各国語を交えて歌うなど、一夜限りのスペシャルバンドの演奏は高校生を大いに盛り上げました。
学生スタッフとして参加した萩原さん(博士前期課程)に感想を伺いました。
―学部時代は、府中国際交流サロン 児童日本語教室で学習支援をしていた
萩原さんですが、今回国際理解セミナーに携わろうと思ったきっかけはなんですか。
萩原さん:学部4年生時代に、地元埼玉でクルド人の子どもたちに出会ったんです。トルコ語専攻なのに、自分の地元なのに彼らの背景を全然知らず、心の中に引っかかっていて。それで今回グロセミで難民を扱うと聞いたのがきっかけでした。
―日頃、学部生に論文のアドバイスをすることなどはあると思いますが、高校生と話すというのはどうしたか。
萩原さん:大学2年生の妹より年下なことに驚きましたね(笑)ゼミなどで学んでいるとつい話が抽象的にありがちですが、高校生にはそれでは伝わらないんだなと。例え話をするなど意識していました。
―萩原さん自身がセミナーで一番新鮮だったことはなんでしょうか。
萩原さん:高校生に「それってどうなの?」と話を振りながら「じゃあ自分はどうするんだ?」と考えました。学部1,2年生はまだ学ぶ途中、留学帰りの同期も春から社会人になる。自分は既に卒業して一歩次の段階にいるのだから、学内に限らずなんらかの形で外に向けてアウトプットしていきたい、と感じたことでしょうか。
―参加した高校生に思うことを教えてください。
萩原さん:自分が「こうしたい」と思う種・芽をもって、進んで欲しいです。セミナーに来るくらい、自分で動ける子たちなので、自分の方向性を見つけて欲しいですね。
―インタビューの途中、何度も「段階」という言葉が出てきました。「社会と人とをつ
なげる仕事ができたら」と話す萩原さん。ご自身の次の段階に向けて既に動き出し
ている様子がいきいきと伝わってきました。
【参加した高校生の感想】
○いつもとは違った頭の使い方をして明確な答えのないテーマに取り組んだため、なかなか答えがまとまらず新たな疑問がたくさん浮かんできてとても大変な思いをしました。でも、人と話し合い、考えることで新たなものの見方に気づかされ、そして考えて、考えて・・と繰り返していくうち大切なことは“答え”ではなく、“話し合い考える”ということ自体なのだと思いました。
○難民支援協会の石川さんや在日コリアン3世の尹先生のお話から、「母国のアイデンティティがない」ことによる想像を絶するほどの精神面・生活面の辛さを教えて頂き、今まで私はどれほど甘い姿勢で「多文化交流」を考えていたのかと愕然としました。「国際理解とは、自分がぐらぐら壊れていくこと!」尹先生のお言葉通り、たくさん壊れ、そしてまた、何ものにも代えがたい多くを学んだ2日間でした。
この他にも「自己主張が苦手であまり積極的に発言はできない性格だが、今回のセミナーで周りから力づけられた」「今現在当たり前になっていることを疑うことの大切さに気づいた」などたくさんの感想が寄せられました。
開会式 北脇教授より挨拶
学生スタッフたち
写真をもとに話し合う
交流会にて 多文化バンドBLANKの演奏
2日朝 キャンパスツアー
尹先生のレクチャー
ディスカッションの発表
最後に記念撮影