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メディア掲載のお知らせ 論集『難民と共に暮らす』出版記念イベント

2024.12.19 update

バングラデシュの英字紙 The Daily Star に『難民と共に暮らす―ロヒンギャ難民とベンガル人地域住民との日々の経験』出版記念イベントの記事が掲載されました。

2024年11月28日にバングラデシュのインディペンデント大学(IUB)で、UPL社から出版された論集『難民と共に暮らす―ロヒンギャ難民とベンガル人地域住民との日々の経験』(ベンガル語)の出版記念イベントが行われ、その記事が、バングラデシュの最大部数の英字新聞 The Daily Star のネット版に掲載されました(こちら)。イベントでは、バングラデシュ先端研究所(RIB)の所長メグナ・グホタクルタ教授、ダッカ大学前社会学部長S. アミヌル・イスラム教授、IUB前社会科学部長イムティアズ・A・フセイン教授をはじめとした9名の登壇者によるトークイベントが行われました。
*『難民と共に暮らす』の諸誌情報は以下をご覧ください。ベンガル語 日本語

以下は、The Daily Star の記事の日本語訳です。

「バングラデシュのインディペンデント大学(IUB)の教養学部・社会科学部(SLASS)は、2024年11月28日にキャンパス内の多目的ホールで、『難民と共に暮らす』(Living with Refugees)と題する書籍の出版記念イベントを行いました。

同大学の社会科学・人文科学部(DSSH)と、東京外国語大学(TUFS)の南アジア研究センター、TUFSフィールドサイエンスコモンズ(TUFiSCo)、アジア・アフリカ言語文化研究所(ILCAA)人類学班の支援を受けて企画されたこのイベントでは、難民研究とその社会的影響に焦点が当てられました。

DSSHのクドラテ・クダ博士が司会を務め、ナジア・マフムード博士がイベントをコーディネートしました。SLASS学部長のボクティアル・アフメド教授による歓迎の挨拶で、イベントは幕を開けました。この本は、The University Press Limited (UPL) から出版され、ロンジャン・シャハ・パルト教授(ジャハンギルノゴル大学)、オバイドゥッラ・マルジュク教授(IUB)、外川昌彦教授(東京外国語大学)が編集しました。バングラデシュ、および海外の19人の研究者の論考が収録されています。

外川教授は、ロヒンギャ危機の歴史的背景について洞察を述べ、そのルーツを第二次世界大戦中の日本軍の同地域への関与にまで遡りました。同教授は、その時代とその後の時期に下された決定が現在の状況にどのように影響しているかを論じ、世界的規模の行動とその地域社会への影響との相互の関連性を強調しました。外川教授は、一国家だけでは解決のできないこのような危機に対処するためには、この問題に間接的に関わる人々も含めたすべての利害関係者が組み込まれた支援の必要性を訴えました。彼は、この本をベンガル語で執筆した執筆者とUPL社を称賛し、現地社会の文脈を通して、この深刻な問題への理解を広めることに貢献したと述べました。彼は、この本を事実に基づく洞察に富んだ論集であり、ロヒンギャ問題の複雑な様相を理解するのに役立つと評しました。

ロンジャン・シャハ・パルト教授は、7年間にわたるこの本の編集作業について語りました。「私は、難民間の分裂や政治的影響について取り上げることで、バングラデシュの人々に自分たちの言葉でこの問題を理解してもらいたいと思いました」と述べました。

The University Press Limited (UPL) の社主マフルク・モヒウッデイン氏は、「UPLの49年の歴史を通して、私たちは世界に対しバングラデシュの現実を浮き彫りにしてきました。社会経済および人道上の複雑な問題を伴うロヒンギャ危機は、特にミャンマーの軍事支配者に対する最近の国際司法裁判所の逮捕状によって、緊急の課題となっています。この本は、詳細に調査された視点に基づいて、読者にこれらの重要な問題の理解を提供しています」と述べました。

バングラデシュ先端研究所(Research Initiative Bangladesh:バングラデシュを代表する社会科学系の研究機関)の所長メグナ・グホタクルタ教授は、この本の難民の生活と受け入れコミュニティの役割についての考察を取り上げて、本書を評価しました。

ダッカ大学社会学部の前学部長S. アミヌル・イスラム教授は、「この本は質の高さと洞察力に富んだ貢献で際立っている。ロヒンギャ危機の社会学および人類学的な側面を探り、影響を受けた人々の日々の現実を詳細に明らかにしている」と述べました。

IUBのグローバル研究・ガバナンス学部のイムティアズ・A・フセイン教授は、「ロヒンギャ危機は、環境問題と人道上のニーズの衝突を象徴しています。国連が定義するレベル2の人道危機を引き起こしており、その課題に対処するには、地域と国際社会双方の責任が求められます。地域社会の関与が尊重されるべきであり、それは地域の社会経済および生態系のバランスに直接影響を与えるからです」と述べました。

カジ・ムハムドゥル・ラフマン博士は、DSSHの教授および学部長であり、本書の出版記念イベントのホストとして、閉会の挨拶を行いました。イベントは、登壇者への本の贈呈で締めくくられました。」

("IUB Hosts Book Launch Event of "Living with Refugees", The Daily Star, December 9, 2024)
https://www.thedailystar.net/campus/noticeboard/news/iub-hosts-book-launch-event-living-refugees-3772171