ウルドゥー文字を書きましょう


目次

<<注意>>
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<0>このページでウルドゥー語の文字を学ぶみなさんへ

 このウェブサイトは、ウルドゥー語の文字を学びたい人が、何とか独習できるように作成しました。
 ウルドゥー語は、アラビア語やペルシア語と同様に、アラビア文字を用いて書き表します。アラビア語やペルシア語の文字を学んだことがある人は、見慣れた文字がならんでいるように感じることと思います。
 ウルドゥー語のアルファベット(ウルドゥー文字と呼ぶことにします)は35文字からなっています。数え方によっては36文字という人もいます。まずは、このウルドゥー文字の書き方を学びましょう。
 気をつけていただきたいのは、活字と手書きの場合とで、見た目の印象が大きく異なる文字がある点です。新聞や書籍はコンピュータで処理された活字を使いますが、その活字は、手で書く場合の文字とかなり見栄えが異なるのです。
 このサイトでは、ウルドゥー文字活字として2種類を提示しました。各文字の向かって左側にナスフ体、右側にナスターリーク体という書体で各文字が提示されています。同じように見える文字と、違っているように見える文字があると思います。
 このウェブサイトでは、その違いを実感していただくために、それぞれの文字の活字を示し、それを手書きした場合と比較できるように工夫しました。手書きの文字はアニメーションでその書き方を示しています。何度か見て、自分でも書く練習をしてみましょう。

このサイトの見方

 文字はウルドゥー語のアルファベット順にならんでいます。文字を覚える場合は、この順番で覚えてください。文字の順番がわからないと、あとになって辞書が引けません。
 
 先に説明したとおり、一番左に各文字が2つの書体で提示されています。向かって左側がナスフ体という書体、右側がナスターリーク体と呼ばれる書体です。ウルドゥー語の出版物は、ほとんどの場合どちらかの書体が用いられています。見た目が大きく異なる文字もありますが、同じ文字です。
 
 それぞれの文字の下にはさまざまな説明があります。《 》で囲まれたカタカナは、それぞれの文字の名前です。カタカナの前にある数字は、文字の順番を表します。
 《 》で囲まれた文字名の右横にある[ ]で囲まれたローマ字のような表記は、国際音声字母(IPA: International Phonetic Alphabet)で書かれた各文字の名前です。英和辞典で発音記号と呼ばれるものです。その右側の( )で囲まれたローマ字は転写記号と言います。基礎ウルドゥー語(大学書林)や、ニューエクスプレス+ウルドゥー語(白水社)などにも用いられています。発音記号も、転写記号も、文字を覚えるまで補助的に利用します。
 ウルドゥー語の音声について詳しく知りたくなったら、こちら(東京外国語大学言語モジュールのウルドゥー語編)をご覧ください。母音と子音に分けて説明されています。
 
 各文字の名前の右側には、リンクが3つあります。
 文字名の部分をクリック(タップ)すると、ネイティブ・スピーカーによる音声を聞くことができます。
 音声の部分をクリック(タップ)すると、その文字が表す音(文字の名前ではありません)を聞くことができます。子音の場合は、長母音「アー」をともなって発音しています。
 書き方の部分をクリック(タップ)すると、その文字の書き方がアニメーションで見られます。サイト上に提示されている活字とは違った印象の文字もあります。罫線付きのノートなどを利用して自分でも書く練習をしてみましょう。もしくは、こちらから書き方練習帳をダウンロードすることもできます。

<<参考情報:単語などを書きたいあなたへ>>
 ウルドゥー語は、右から左に向かって、原則として単語ごとに文字をつなげて書かれます。このサイトでアルファベットの書き方が理解できたら、実際に単語などを書いてみましょう。文字をつなげて書く練習をするには、こちらのサイトにアクセスしてください。

 このページを利用しての疑問、質問、あるいは動作不良の指摘などは、こちらの電子メール・アドレス宛に連絡をお願いいたします。


 以下に示すのは、これからみなさんが学ぶウルドゥー文字の一覧です。右上から始まって左に向かって並んでいます。一行空いて一番下の列にある4文字は、<2>気をつけるべき文字の項で説明されています。各文字をクリック(もしくはタップ)すると、それぞれの文字の説明にジャンプすることができます。
        ا
ث ٹ ت پ ب
  خ ح چ ج
    ذ ڈ د
  ژ ز ڑ ر
  ض ص ش س
  غ ع ظ ط
  گ ک ق ف
    ن م ل
    ی ہ و
         
  ھ ں آ ے

<1>基本となるアルファベット(35文字)


《1 アリフ》
[əlif] (alif) 文字名 書き方
 この文字は、いろいろな母音を表します。「ア[ə]音声や、「イ[i]音声、「ウ[u]音声という短母音を表します。どの短母音になるかは、単語ごとに異なります。また、単語の最後では「アー」音声という長母音を表します。次に来る文字とはつながりません。



《2 ベー》
[beː] (bē) 文字名 音声 書き方
 日本語の「バ」行の音を表します。



《3 ペー》
[peː] (pē) 文字名 音声 書き方
 日本語の「パ」行の音を表します。



《4 テー》
[t̪eː] (tē) 文字名 音声 書き方
 日本語の「タ」行の音を表します。あとに出てくる《22 トーエ》と同じ音です。



《5 テー》
[ʈeː] (ṭē) 文字名 音声 書き方
 日本語の「タ」行に近い音を表します。一つ上の《4 テー》とは異なりますが、聞き分けられなくても大丈夫です。



《6 セー》
[seː] (sē) 文字名 音声 書き方
 日本語の「サ」行の音を表します。あとに出てくる《18 スィーン》や《20 スワード》と同じ音を表します。



《7 ジーム》
[ʤiːm] (jīm) 文字名 音声 書き方
日本語の「ジャ」行の音を表します。



《8 チェー》
[ʧeː] (cē) 文字名 音声 書き方
日本語の「チャ」行の音を表します



《9 ヘー》
[heː] (hē) 文字名 音声 書き方
日本語の「ハ」、「ヘ」、「ホ」の音を表します。《34 ヘー》と同じ音です。名前も同じです。



《10 ヘー》
[xeː] (xē) 文字名 音声 書き方
日本語では用いられない音です。うがいをするときに喉から出るようなイメージです。



《11 ダール》
[d̪ɑːl] (dāl) 文字名 音声 書き方
日本語の「ダ」行の音を表します。次に来る文字とはつながりません。



《12 ダール》
[ɖɑːl] (ḍāl) 文字名 音声 書き方
日本語の「ダ」行に近い音を表します。《11 ダール》とは異なりますが、聞き分けられなくても大丈夫です。次に来る文字とはつながりません。



《13 ザール》
[zɑːl] (zāl) 文字名 音声 書き方
日本語の「ザ」行の音を表します。あとに出てくる《16 ゼー》、《21 ズワード》、《23 ゾーエ》と同じ音です。次に来る文字とはつながりません。



《14 レー》
[reː] (rē) 文字名 音声 書き方
日本語の「ラ」行の音と考えて差し支えありません。次に来る文字とはつながりません。



《15 レー》
[ɽeː] (ṛē) 文字名 音声 書き方
日本語の「ラ」行に近い音を表します。《14 レー》とは異なりますが、聞き分けられなくても大丈夫です。 次に来る文字とはつながりません。



《16 ゼー》
[zeː] (zē) 文字名 音声 書き方
日本語の「ザ」行の音を表します。先の《13 ザール》や、あとに出てくる《21 ズワード》、《23 ゾーエ》と同じ音です。次に来る文字とはつながりません。



《17 ジェー》
[ʒeː] (ǰē) 文字名 音声 書き方
日本語の「ジャ」行に近い音です。英単語pleasureのsの部分の音と同じです。次に来る文字とはつながりません。



《18 スィーン》
[siːn] (sīn) 文字名 音声 書き方
日本語の「サ」行の音を表します。先の《6 セー》やあとに出てくる《20 スワード》と同じ音です。



《19 シーン》
[ʃiːn] (šīn) 文字名 音声 書き方
日本語の「シャ」行の音を表します。



《20 スワード》
[sʋɑːd] (swād) 文字名 音声 書き方
日本語の「サ」行の音を表します。先の《6 セー》や《18 スィーン》と同じ音です。



《21 ズワード》
[zʋɑːd] (zwād) 文字名 音声 書き方
日本語の「ザ」行の音を表します。先の《13 ザール》や《16 ゼー》、あとに出てくる《23 ゾーエ》と同じ音です。



《22 トーエ》
[t̪oːe] (tōe) 文字名 音声 書き方
日本語の「タ」行の音を表します。《4 テー》と同じ音です。



《23 ゾーエ》
[zoːe] (zōe) 文字名 音声 書き方
日本語の「ザ」行の音を表します。先の《13 ザール》や《16 ゼー》、《21 ズワード》と同じ音です。



《24 アイン》
[ɛːn] (ain) 文字名 書き方
 この文字は《1 アリフ》と同様にさまざまな母音を表します。「ア[ə]音声や「イ[i]音声、「ウ[u]音声等の母音を表します。どの母音になるかは、単語ごとに異なります。



《25 ガイン》
[ɣɛːn] (ǧain) 文字名 音声 書き方
日本語では区別されない音です。《10 ヘー》と同じ要領で発音する「ガ」行に近い音です。



《26 フェー》
[feː] (fē) 文字名 音声 書き方
英単語のfineのfの音です。



《27 カーフ》
[qɑːf] (qāf) 文字名 音声 書き方
日本語の「カ」行よりも奥で発音する「カ」行に近い音です。



《28 カーフ》
[kɑːf] (kāf) 文字名 音声 書き方
日本語の「カ」行の音です。



《29 ガーフ》
[ɡɑːf] (gāf) 文字名 音声 書き方
日本語の「ガ」行の音です。



《30 ラーム》
[lɑːm] (lām) 文字名 音声 書き方
英単語のlightのlの音です。



《31 ミーム》
[miːm] (mīm) 文字名 音声 書き方
日本語の「マ」行の音です。



《32 ヌーン》
[nuːn] (nūn) 文字名 音声 書き方
日本語の「ナ」行の音です。



《33 ワーオ》
[ʋɑːo] (wāo) 文字名 書き方
 この文字は、単語によってさまざまな音を表します。日本語の「ワ [ʋɑ]」行の音音声や、母音の「ウー [uː]音声、「オー[oː]音声、「アォー[ɔː]音声等を表します。どの音を表すかは単語ごとに異なります。次に来る文字とはつながりません。




《34 ヘー》
[heː] (hē) 文字名 音声 書き方
日本語の「ハ」、「ヘ」、「ホ」の音を表します。《9 ヘー》と同じ音です。名前も同じです。



《35 イェー》
[jeː] (yē) 文字名 書き方
日本語の「ヤ[jə]」行の音音声や、母音の「イー[iː]音声等を表します。どの音を表すかは単語ごとに異なります。

<2>気をつけるべき文字

 ここでは、1.で見たアルファベットには含まれませんが、覚える必要がある文字を挙げておきます。各文字の注意をよく理解してください。



 《バリー・イェー》
[bəɽiː jeː] (baṛī yē) 文字名 書き方
 この文字は、単語の最後にのみ現れ、「エー[eː]音声、もしくは「アェー[ɛː]音声という音を表します。どちらを表すかは単語ごとに異なります。《35 イェー》の文字の異体字です。
 



《アリフ・マッド》
[əlif mədd] (alif madd) 文字名 音声 書き方
常に長母音「アー[ɑː]」を表す文字です。原則として語頭にのみ現れます。《1 アリフ》にマッドという記号がついた形です。




《ヌーン・グンナー》
[nuːn ɣunnɑː] (nūn ǧunnā) 文字名 書き方
直前の母音字を鼻音化するための文字で、語末にのみ現れます。単独では用いられません。《32 ヌーン》の異体字です



《ドーチャシュミー・ヘー》
[doːʧəʃmiː heː] (dōcašmī hē) 文字名 書き方
帯気音(有気音)を表すためだけに用いられます。単独では用いられず、必ず別の文字を伴って現れます。《34 ヘー》の異体字です。


<3>2つの文字を組み合わせて書く

 ウルドゥー語には、2つの文字を使って表す音があります。帯気音、もしくは有気音と呼ばれる音です。日本語では区別されることがない(カタカナでは書きわけられない)ので、慣れるまでは発音したり、聞き分けたりしたりするのは難しいかもしれません。この音を表すために文字を2つ用います。2つめの文字は、<2>気をつけるべき文字 で説明した、《ドーチャシュミー・ヘー》です。この文字は、直前の子音を帯気音化する役割を持っています。具体例は以下のとおりです。なお、以下の例では、発音がしやすいように、長母音「アー」(文字《アリフ》)を加えて発音しています。
 

「パー」 [pʰɑː] (phā) 音声 書き方


「バー」 [bʱɑː] (bhā) 音声 書き方


「ター」 [ʈʰɑː] (ṭhā) 音声 書き方


「ダー」 [ɖʱɑː] (ḍhā) 音声 書き方


「ラー」 [ɽʱɑː] (ṛhā) 音声 書き方


「ター」 [t̪ʰɑː] (thā) 音声 書き方


「ダー」 [d̪ʱɑː] (dhā) 音声 書き方


「チャー」 [ʧʰɑː] (chā) 音声 書き方

「ジャー」 [ʤʱɑː] (jhā) 音声 書き方


「カー」 [kʰɑː] (khā) 音声 書き方


「ガー」 [ɡʱɑː] (ghā) 音声 書き方


 このページを作成するに当たり、東京外国語大学の競争的経費(2021年度、2022年度、2023年度)を活用しました。記して御礼申し上げます。
 音声録音協力者:Mr. Gull Rahman(男声)、Ms. Muniza Amir Khan(女声)
 
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