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インド・ヨーロッパ語族 西ゲルマン語派。
オランダ語を母語として用いている地域はオランダ王国、ベルギー王国(およそ北半分)。このほかアンティル諸島(カリブ)、スリナム共和国(南米)で公用語として用いられている。
1994年現在、オランダ語を母語話者とする人口はオランダ王国に約1,534万人、ベルギー王国に約570万人、合わせて約2,104万人。このほか、アンティル諸島、スリナム共和国などのオランダ語話者を合わせると、2,200万人以上にのぼると思われる(三省堂『世界の言語ハンドブック1』による)。
オランダ語はホラント方言、リムブルフ方言、ブラーバント方言、フラームス語(フラマン語、フランデレン語、フランドル語)、サクソン方言、フリース語(フリジア語、フリースラント語、フリスク語)などの方言もしくは地方語に分けられる。
いわゆる共通語としてのオランダ語はABN(Algemeen Beschaafd Nederlands)と呼ばれる。
ベルギーで使われているオランダ語はフラームス語(フラマン語、フランデレン語、フランドル語)と従来称されるが多かったが、これはオランダ語とは別個の言語ではなくオランダ語の一方言と見なされ、現在ではオランダ語という呼称にほぼ統一されている。
オランダ語の歴史は、以下の3つの時期に区分されている。
オランダ語の表記にはラテン文字を用いる。 必要に応じて、母音の上に補助記号 ¨ 及び ´ を用いる。 ¨ は直前の母音と合わせて二重母音になるのではなく、直前の母音と異なる音節となることを表す際に用いられる。 一方、不定冠詞と数詞「1」は同じく een と綴るが、 文脈によって「1」を意味することを明示する必要があるときには ´ を用いて één とすることがある。
弛緩母音(短母音)・緊張母音(長母音)の区別があり、弛緩母音は閉音節にのみ現れる。 下の表で、左は音価を、その右の( )内は綴りを示す。
弛緩母音 | 緊張母音 開音節/閉音節 |
(i) (e) (a) (o) (u) |
(i, ei/ie) (e/ee) (a/aa) (o/oo) (u/uu) (oe) (eu) |
また二重母音として、以下のものがある。
ei, ij |
ui |
ou, ouw, au, auw |
なお、強勢のない e , i, ij はしばしば [] と発音される。
オランダ語の子音のうち、特に注意すべき点は以下の通りである。
第1音節にアクセントが置かれる語が多いといわれている。しかし、第2音節以降にアクセントが置かれる語も少なくない。特に外来語はアクセントの位置を特定することは非常に難しい。また、アクセントを持たない前綴り(接頭辞)や、語義によってアクセントの有無の変わる前綴りなどもある。アクセントの位置を一般化することは困難であり、逐次辞書等で確認する必要がある。
名詞は、通性名詞と中性名詞の2種類に分類される。単数形で用いられる定冠詞は、通性名詞は de 、中性名詞は het である。ただし、複数形で用いられる定冠詞はいずれも de となる。
複合動詞(2つの要素からなる動詞)で、文中で前綴りの部分が分離して文末に現れるものを分離動詞という。分離動詞はオランダ語では珍しいものではなく、非常に多く用いられる。
Ik ga met u mee.「私はあなたに同行します。」
※ ik「私」、met u「あなた(と一緒)に」、meegaan「同行する」
上の文では、meegaan「同行する」の前綴り(mee-)が分離して文末に現れている(ga は gaan の1人称単数現在形)。
オランダ語の基本的な語順は、[主語]-[(定形)動詞]-[その他(目的語、副詞など)] である。 しかし、語順には以下のような特徴がある。
桜井隆(1988).「オランダ語」,『言語学大辞典(第1巻)』.三省堂.
佐藤弘幸(1998).「オランダ語」,『世界の言語ガイドブック1』(東京外国語大学語学研究所編).三省堂.
B.C.ドナルドソン(1999).『オランダ語誌』(石川光庸・河崎靖訳).現代書館.