トークライブ「アイヌ政治の現在」
水平書館で行われた
https://twitter.com/suiheishokan
マーク・ウィンチェスター氏
トークライブ「アイヌ政治の現在」
に行ってきました。
漫画家の小林よしのりを始めとして、
多くの右派のかきまぜ師が
「アイヌ人などと言うのはもういない」
「いるのはアイヌ系日本人だけだ」
「誰でもアイヌになれる」(←構築主義でアイヌになれるのか?)
「アイヌ利権がある」
「在日コリアンがアイヌになりすましている」
などという、事実に基づかない言説を
垂れ流している状況と
歴史的背景と、
その状況を作り出している前提的諸状況
それから、アイヌ関係の法令に関する
歴史的流れに基づいた
報告でした。
ものすごくかいつまんで言うと、
当事者の中に、アイヌと自称することをためらいつつ
小林らに言説を提供しているインフォーマントと
なっている人たちがいて、
当事者が言っているんだから真実だとばかりに
プロパガンダ者と、その取り巻きが誤った言説を
ばらまいていると。
それから、漫画という媒体と、
ここ数十年で広まったSNSや2chなどが
思いの外、強い力を持っているとのことでした。
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アメリカ合衆国やカナダなどの先住民の状況を知る身としては、
もちろん彼らも超恵まれているわけではないけれど、
少なくとも、単純に存在を否定されることには
なっていないなと、アイヌの飛び抜けたバルネラビリティーが
気になります。
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今回はトピックじゃなかったので発言を控えましたが、
私が当事者であるLGBTあるいはSOGIにも
似たようなところもあるし、
でも違うところもあるな、と思いました。
当事者として、LGBT差別など無い!という人の典型は、
「自分はゲイとして、生まれてこの方差別されたことは無い」
「日本は他の国とは違って、歴史的な流れからLGBTには寛容であり差別は無い」
「自分はゲイとして負い目があるので、人一倍努力してきたので
差別されることは無い」
最後の発言には、数日前の上野千鶴子さんの
東大入学式での祝辞を贈りたいです。
「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください」
またアイヌ関連で上に挙げた
「誰でもアイヌになれる」
に似たものは、
「同性婚なんて認めたら、異性愛者が同性婚を悪用する可能性があり、
そんなことになったらどうするんですか?」
っていうのがありましたね。
そんなの、異性婚だって、悪用はできるんだから、同性婚だけの
問題じゃないんですけど。
LGBTに関していうと、世論は、わりと、杉田水脈などの
差別的言説が出ると、当事者じゃない人からも
反論が数倍になって出る状況なので、
アイヌの状況よりは良いかもしれません。
その一方で、与党の政治家は、
憲法に関する使い古されて論破されている「解釈」を持ち出して
同性婚は違憲であり、法制化はできないと言っているので、
いいばかりではありませんが。
アイヌ問題に関しては、以下の書物(他)が
推薦されていました。
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マーク・ウィンチェスター他編『アイヌ民族否定論に抗する』
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