4月26日(土)予定どおりナボコフとロシア文学に関するイベントをおこなった。
「ナボコフの 『ロシア文学講義』 を再読する」 と題するシンポジウムでのパネリスト報告は以下のとおりだった。
諫早勇一(名古屋外国語大学) ナボコフのゴーゴリ評価をドミートリイ・ミルスキーの 『ロシア文学史』 と比較。「ポーシュロスチ(俗悪さ)」その他について類似点があるが、ウクライナものの評価は相違している。
望月哲男(北海道大学) ナボコフが指摘するトルストイの 『アンナ・カレーニナ』 の比喩の特徴は「機能的・倫理的比喩」。水のテーマをめぐる比喩の連鎖が見られる。
亀山郁夫(名古屋外国語大学) ナボコフのドストエフスキー批判に対する批判的アプローチ。文学を「神聖なゲーム」と捉えるナボコフの文学観に合わないのだろう。
沼野恭子(東京外国語大学) ナボコフのチェーホフ評価とソルジェニーツィンのチェーホフ批判は、チェーホフの同じ資質を正反対に受けとめたもので対照的。
沼野充義(東京大学) ナボコフの「ソ連文学」への複雑な姿勢について。オレーシャとナボコフには親近性がある。
会場には予想を上回る聴衆が集まった。
パネリストの報告の後、エリック・ナイマン(カリフォルニア大学バークレー校) がコメントをし、会場からの質問も受けつけた。
母校の東京外国語大学で、ロシア文学の先輩たちをお呼びしてこんなイベントを催すことができたなんて、私としては感慨に堪えない。
そういう機会を与えてくださった日本ナボコフ協会の皆様に心より感謝申し上げます。
またロシア文学研究者のみならず、一般の方や、本学をはじめ東大、慶應大、東北大、早稲田大、創価大の院生や学生が来てくださったことも嬉しかった。
「縁の下の力持ち」として会を支えてくれたスタッフの皆さんに心から感謝します!
シンポジウム後の懇親会でナボコフ協会の方たちと。
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