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岩手旅行

岩手を旅した。
花巻では宮沢賢治ゆかりの地を訪ね(宮沢賢治記念館、イーハトーブ館、童話村)、遠野では 柳田國男『遠野物語』の原風景を求めてまわる(かっぱ淵、ふるさと村、デンデラ野)。ふるさと村に保存されている茅葺屋根の「南部曲り家」が面白かった。人の住む空間と厩がL字型でつながったもの。人と馬が文字どおり「一つ屋根の下で」一緒に住んでいた様を知ることができた。


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人と馬が一体だったというのは、この地方に伝わる「オシラ様」伝説とよく符号する。
言い伝えによると、ある娘が飼い馬と夫婦になり、父親の怒りを買う。父がその馬の首をはねると、娘は馬の首に飛び乗り昇天してオシラ様になったという。オシラ様は農業の神、蚕の神として信仰されてきたそうだ。

ロシアのラジオ局 「Голос России (ロシアの声)」の東京特派員でロシアに関するさまざまな情報を発信している いちのへ友里さんに教えていただいた雫石の御所湖畔にある川村美術館にも足を伸ばす。館長自ら集めたというロシアや東欧のアートを展示している私設美術館で、折からスタシス展が開かれていた!


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スタシス・エイドリゲヴィチュス(1947年生れ)はリトアニア出身、ポーランドに移住したアーティストだ。スタシスというのはファーストネームだがこの名で知られ、国際的に非常に高い評価を受けている。一度見たら忘れることのできない彼の特異な作品にはどれも、人間存在のいたたまれなさ、神秘、不気味さを一瞬のうちに呼び起こす不思議な力がある。
岩手でスタシスに会えるとは思ってもいなかった。

これは、スタシスのイラストによる絵本。クルト・バウマン『ペロー童話 ながぐつをはいたねこ』斉藤洋訳(ほるぷ出版、1991年)
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2013年8月25日 10:05に投稿されたエントリーのページです。

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