外国語教育学会
第8回大会
今年度も無事大会が終了しました。ご参加いただきました皆様,ありがとうございました。
日時 2004年10月24日(日)
10:00〜17:30
場所 東京外国語大学
府中キャンパス
当日入会可能

プログラム
     
第1会場 111教室 (10:00-14:10)  
開会の辞 川口 裕司 (外国語教育学会副会長) 10:00-10:10
司会 

黒澤 直俊(外国語教育学会理事)

 
第1会場

報告1

「2歳からのIT応用バイリンガル教育」

峯 慎一 (iCAT-IT English School代表、明治大学経営学部専任講師)

英語圏に一度も行った事がなく一種の英語アレルギーだったシングルマザーが、2歳 の我が子に理想的な英語環境を作った。現在、小学校二年と一年になった兄妹はインターネットも利用して、日本の高校生以上の英会話能力を身につけ、宇宙、人間の身体、ハイテクなど自分の興味あ る事象にチャレンジしている。これまでの学習課程と現在の学習方式などをご紹介したい。

10:10-10:35
第1会場

報告2
「ライティング能力に影響する要素は何か」

馬場 千秋(東京国際大学非常勤講師)

近年、まとまった長さの英文を書くことや既習の文法項目を使って英文を書くことに不慣れな大学生が増えている。本発表では大学1年生の書いた英作文の評価、TOEIC Bridgeスコア、文章構成能力を比較分析し、学習者の英作文力に影響する要素は何かを検証する。
10:35-11:00
第1会場

報告3

「外国語学習における「チャンク・リスニング/リーディング」」

長沼 君主(清泉女子大学)
河原 清志(立教大学異文化コミュニケーション研究科・慶応大学SFC研究所)

言語情報の処理は一般に符号化・貯蔵 ・検索の3段階に分けられ、このうち符号化は入力情報を処理可能な意味の単位(チャンク)で内部形式に変換することであ る。この理解に立ち、外国語学習における情報の処理と保持に関するボトムアップ方式でのリスニング・リーディング能力向上のための様々な訓練法を論じる。

11:00-11:25
第1会場

報告4

「英語会話モジュール教材附属指導用手引き(TM)の開発:TM作成にあ たっての理論的枠組み」

向井 緑(東京外国語大学大学院博士前期課程)
鵜澤 菜摘子(東京外国語大学大学院博士前期課程)
加藤 愛(東京外国語大学外国語学部)

わが国の英語教育の現状をふまえTEFL、Communicative Language Teaching、初等英語教育の各理論的枠組みに立脚し、TUFS言語モジュールの英語会話教材および附属指導用手引き(TM)の特長および活用可能性についての議論を行う。

11:25-11:50
昼食・理事会
11:50-12:30
司会 佐野 洋(外国語教育学会理事)  
第1会場

報告5


「アメリカ多文化社会とはー高・中学校においてcultural flexibility を育てる教材開発」

麻生 久美子 (アメリカ・ミネソタ大学教育政策学部博士課程)

現在、地球規模での結びつきの強化、グローバリゼーションや各国の相互依存などから、世界がより小さくなり、ボーダーレスが進み、各国が似通ったシステムを持ちつつあ る。と同時に民族固有のtraditional cultureを維持することも忘れてはならない。日本でも、日本国内の外国人居住者が急増している現状のもとで、こどもたちが異文化を実感する機会は増えている。しかしながら日本での多文化状況は局地的なもので、全体では日本独自の文化が脅かされる恐れはなく、多文化社会の状況やグローバル社会で traditional cultureを維持することの意義を、どう授業で取り上げるかは工夫のいるところであ る。
 米国では、bi-racial, multi-racialの世代が育ちつつある現在、それぞれの持つtraditional cultureを保持していく目的の多文化教育が実施され、教材開発の研究も進んでいる。ひとつのシステムのもとに存在するさまざまな民族、それぞれが異なった文化を持ちながらもひとつにまとまる、という社会を考えると、米国社会は、さまざまな意味でのグローバル社会の1つのサンプルと言える。
 国際理解教育の究極の目的は、cultural flexibility(Mestenhauser, 2004)を養うことと言える。国際理解を推し進めるために不可欠なcultural flexibilityは、小中高等学校でその教育を実現するべきものと考える。中学校、高校での英語教育、「総合の時間」の学際的授業のアイデアとして、この米国での多文化社会紹介を通じて、教材開発を試みる。その教材開発サンプルと授業実践について発表を行いたい。

12:30-12:55
第1会場

報告6

「ホームページ作成ソフトを利用した語彙サイズ測定テストの開発について」

奥山 慶洋 (茨城工業高等専門学校)

英語学習者の語彙力を測定する1つの方法として「語彙サイズ測定テスト」があ る。これをWeb上で受験できるようにすることは、学習者の負担を軽減するばかりでなく、指導者側にとっても有益な情報を与えてくれることが期待される。本発表では、身近にあ るパソコンソフトでの作成方法とその利点について述べたい。

12:55-13:20
第1会場

報告7
「高校生を対象とした英単語親密度の調査 −話し言葉のデータベースから−」

佐久 正秀(大阪信愛女学院短期大学)
本田 勝久(大阪教育大学)

単語親密度は、学習者の言語知識や言語経験を反映し、単語頻度とともに、学習語彙の選定に役立つものと考えられる。本発表では、英語の話し言葉のデータベースから、頻度の高い単語を抽出し、それらの単語親密度を調査した結果を報告する。

13:20-13:45
第1会場

報告8

「「大学生」というアイデンティティと学習方法―ドイツ語授業のフィールド調査から―」

森 朋子(大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程)

本発表では大学1年生の主観を取り上げ、「大学生になった」という意識とそれを取り巻く環境が、学生の学習方法の転換に大きな役割を果たしていることに注目する。ドイツ語授業をフィールドに半年間の質的調査を行い、その結果から第2外国語教育の意義を探る。

13:45-14:10

第2会場 112教室 (10:00-13:45)  
開会の辞 野田 哲雄 (外国語教育学会副会長)
10:00-10:10
司会

萩野 博子(外国語教育学会理事)

 
第2会場

報告1

「私立小学校における評価に関する実態調査」

長谷川 淳一 (桜美林大学短期大学部)

現在、公立小学校で英語活動を実施している学校は、年々増加している。そこでの課題の一つが評価に関する問題であ る。本発表では、小学校英語教育の実践を以前からおこなっている私立小学校の評価に関する実態を報告すると共に、公立小学校における評価のあ り方を模索する。

10:10-10:35
第2会場

報告2

「外国語教育とディスコース・ポライトネス理論」

宇佐美 まゆみ (東京外国語大学外国語学部)

言語行動を主な対象としながらも、対人コミュニケーション理論として構想・展開されている「ディスコース・ポライトネス理論」の基本的概念を簡単に紹介した後、この理論が、異文化間コミュニケーションの現場でもあ る外国語教育に、いかに生かせるかについて論じる。

10:35-11:00
第2会場

報告3

「言語習得における意味認識 ―クオリアとCommunication Ecology―」

秋田 辰巳 (甲府市立甲府商科専門学校)

言語習得における最大の謎のひとつ「意味認識」について、心と脳という両側面から「クオリア」を中心として論じ、ニューロンからの「錬心術」をさらに一歩進めてみる。このことで、外国語習得過程を科学的に解明するための課題のひとつを改めて示す。

11:00-11:25
第2会場

報告4

「第2言語の教室におけるインターアクションの階層性」

菊岡 由夏 (大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程)

本発表では、第2言語としての日本語の教室におけるイ ンターアクションを分析し、それが「階層性」という特 徴を持っていることについて論じる。具体的には、教師 と学習者が、インターアクションの階層を切り替えなが らその相互構築に携わっている様子を見せる。そして、 そのパフォーマンスが教室における学習者の参加を促し たり、そこで行われていることを教室全体で共有する試みとしての役割を果たしていることを論じる。

11:25-11:50
昼食・理事会   11:50-12:30
司会 秋田 辰巳(外国語教育学会理事)  

第2会場

報告5

「日本生まれの中国帰国児童に対する日本語抽出授業−あ る小学校の事例を参考にー」

高橋 朋子(大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程)

これまで中国帰国児童といえば、母語が中国語で、中国で学校生活を体験して来日するというものであ った。現在、発表者が参与観察を行っている小学校の中国帰国児童のほとんどは、日本生まれで中国語がほとんどできない。そんな彼らに日本語抽出授業は必要なのか。必要なら、どのような支援が必要なのか。本発表では小学校の事例をもとに母語を日本語とする帰国児童への日本語教育について考察したい。

 

12:30-12:55
第2会場

報告6
「ライフストーリー・インタビューによる外国語学習動機に関する一考察―台湾における日本語学習者を対象に―」

羅 曉勤 (大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程)


外国語習得の成功を予測する要因の一つは学習動機と言われる。従来の研究では、主にアンケートを用いて学習の達成度と動機に影響する要因の相関関係のみに着目し、学習者のダイナミック的な学習動機を捉えきれていないと考える。本発表では、ライフストーリー・インタビューを用い、学習動機の変化を捉えることを目的とする。
12:55-13:20
第2会場

報告7
「小学校英語担当教員の教員研修に関する意識調査 ―韓国大田広域市の場合―」

小川 一美(大阪教育大学大学院)

近年、導入是非の鍵を握るであろう児童英語に関する調査も盛んに行われているが、かかる導入是非の命題となる「教員」、「教員の視点」から考える児童英語に関する研究は数少ない。 そこで、本研究は1997年より小学校英語教育の導入を果たした韓国の小学校教員の意識調査から、教員の視点から考える小学校英語、教員研修案を模索する。

13:20-13:45


シンポジウム

早期外国語教育 −可能性と現状−

学会紀要掲載内容

 
2000年度(平成12)から公立小学校では外国語が教えられるようになり、中学校では英語が必修化された。わが国も早期外国語教育に向けて、ようやく重い腰をあ げたように思える。早期外国語教育の利点とは何であろうか。それを実現するためには、どのような問題があ るのだろうか。シンポジウムでは、言語教育学、言語学、心理学などの多角的な観点に立ちつつ、早期外国語教育の可能性と現状を論じる。
 
  115教室  
はじめに
野田 哲雄  (東京学芸大学教授、外国語教育学会副会長) 14:30-14:35
基調講演

伊藤 嘉一 (東京学芸大学名誉教授、外国語教育学会名誉会長) 14:35-15:05
シンポジウム



事例報告
「英語会話モジュール教材附属指導用手引き(TM)の開発:教材及びTMのデモンストレーション」

吉冨 朝子(東京外国語大学助教授、第二言語習得)
向井 緑(東京外国語大学大学院博士前期課程)
鵜澤 菜摘子(東京外国語大学大学院博士前期課程)
加藤 愛(東京外国語大学外国語学部)

Part I 〜Part VからなるTUFS言語モジュール教材附属指導用手引き(TM)を作成した。このサンプルを提示しながら本英語教材のデモンストレーションを行う。なお、本教材を使用した模擬授業風景もあ わせて紹介する予定である。

報告者
アレン玉井光江 (文京学院大学教授、児童英語教育)
西澤 弘行 (常磐大学助教授、言語発達)
富盛 伸夫  (東京外国語大学教授、外国語教育学会会長)

(それぞれ20分を予定)

15:10-16:30
司会 根岸 雅史 (東京外国語大学教授、英語教育学)  
 

 

 
休憩    
     
自由討論  

16:35-17:00

総会  

17:00-17:20

閉会の辞 伊藤 嘉一
(東京学芸大学名誉教授、外国語教育学会名誉会長)

17:20-17:30

懇親会   18:00-20:00



お知らせ −昼食と懇親会−

昼食

申し訳ありませんが昼食は各人でご用意ください。近くにコンビニがあ ります。

懇親会

未定
年会費 一般 5000円、学生 3000 円、賛助団体 10000円

183-8534 府中市朝日町 3-11-1
東京外国語大学 外国語教育学会(川口裕司)
振込口座 郵便局 00120-6-33068