「ホームページ」という名称は、ブラウザによってWWW上で見ることのできるすべてのページを指すように使われていることが多いようにも思われるが、本来は、文字通り「ホーム」、つまりあるサイトのトップページを指すべきもの。
一般的に使われている「ホームページ」という言葉は、結局、WWW上におけるハイパーテクストの別名となっているということができる。
A「ハイパーテクスト」
「ハイパーテクスト」という語を最初に用いたのは、シオドーア・ホルム・ネルソン(一般には、テッド・ネルソン)とされている。
「私の言う「ハイパーテクスト」とは、順序通りに書かなくてもよい文章、つまり一つの文章がいくつかに分かれていて、対話的な画面上で読者が読みたいところを自由に選択できるようなものである。一般に理解されているように、ハイパーテクストとは、いくつかのちがった道筋を読者に提供するために「リンク」された文章が並んだものなのである。」(テッド・ネルソン『リテラリーマシン』p.42。)
「“ハイパーテクスト”という語で私が意図しているのは、非順序的なエクリチュール――分岐し、読者に選択肢を与え、インタラクティブな画面で読まれるのがもっともよい読み方であるようなテクストのことである。一般に受け止められているように、これはリンクで結びつけられたテクスト群のことであり、このリンクが読者に異なった経路を与えてくれるのだ。」(ランドウ『ハイパーテクスト』ジャストシステム、pp.11-12)
ごく簡単にまとめるとすれば、ハイパーテクストとはとりあえず次のような特質をもつものとして言い表すことができる。
線状的・順序的・論理的な「テクスト」を「超え」(hyper-)たものとして「ハイパーテクスト」という名称を与えられているといえるが、それは単に上に上げた特質を持つような形態的な問題としてだけではなく、それらの特質によって、これまでのテクストに基づいた思考とは別の、新たな思考・認識・感覚のあり方をもたらすという意味において、重要性を持つ。
現在、「ハイパーテクスト」としてもっとも広く見られるものは、WWW上での「ホームページ」(一般的に使われている意味での)だが、Wordなどのワープロによって相互にファイルをリンクしたものもハイパーテクストである。
あるいは、コンピュータを用いたものでなくても、例えば紙のカードに書いたものが相互に他のカードを参照しあっている(リンクしている)とすれば、それはハイパーテクストである。
ハイパーテクストについては、さらに以下を参照。
http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/~yamaguci/inet_lec\lec12\98med12.html
B「HTML」(Hypertext Markup Language)
ハイパーテクストをWeb上で実現するために考案された文法。
< >(タグ)内の命令が、伝達されるべき情報内容(テクストの中身)をブラウザ上において、どのように視覚的に配置・表現されるかを指示する。
ブラウザは、タグをともなって書かれた文書(htmlファイル)を解釈し、そのタグ内の指定にしたがって表示する。
HTMLは基本的に伝達されるべき情報内容を、各ファイル内において配置し、それらのファイルをリンクするための最低限の指定のみを目指していた。つまり、当初の考え方では、伝達内容に圧倒的に重点がおかれたコンセプトによって、文法の設計がなされていた。
しかし、次第に、伝達内容をいかに視覚的に表現するか、という要請が大きくなり、それにともなって、HTMLのバージョンがアップするとともに、さらに視覚的効果の幅を圧倒的に広げるために「ダイナミックHTML」が考案されることになる。
つまり、ここに見られる展開は、ハイパーテクストという新しい伝達メディアの枠内において、「なに」を伝達するか(伝達内容)に重点をおいた考え方から、「いかに」伝達するか(伝達様式)に重点をおいた考え方への移行である。
「いかに」伝達するかということは、単に伝達内容の装飾物にすぎないものではなく、対象に対する認識・思考・感覚のあり方を決定的に左右するもの。
Cどのような「ハイパーテクスト」の形式を用いるべきか?
ハイパーテクストはWeb上で用いられる場合がもっとも多いので、そこで使われる唯一の形式であるHTMLはその意味で最も重要なもの。
しかし、自分自身のコンピュータ内だけでハイパーテクストを構築する場合、HTMLを使わなくてはならないわけではない。
むしろ、Wordなどのワープロによるハイパーテクストの方が、利点が多い。(その場合、ハイパーテクストとして保存される文書形式は、Wordのdocファイル)
Wordによるハイパーテクスト構築の長所:
短所:
Dなぜ、HTMLか?
上にあげたWordによるハイパーテクスト構築の長所と短所が、そのまま反対にHTMLの短所と長所となっている。
HTMLはWeb上におけるハイパーテクストの形式であるがゆえに、どうしても必要。
htmlファイルを書くためには、次週以降取り上げるように、HTMLの文法をマスターしなくてはならない。
それに、それを身につけたとしても、実際の研究資料などのためにハイパーテクストを活用しようとする場合、タグについて思考を向けなければならないということは、アイディア・研究内容に集中するためには邪魔になってしまう。
「ホームページビルダー」などのいわゆる「ホームページ自動作成ソフト」は、一応、HTMLの文法を知らなくても、HTMLによるハイパーテクストを書くことができるようにするもの。
タグはソフトウェアに任せてしまって、基本的に中身に集中することができる。
(しかし、やはり万能ではないので、HTMLについての知識はどうしても必要になってくる。)
基本的なテーマは、技術メディア(とりわけコンピュータ)によってこれまでのテクスト的な思考・認識・感覚のあり方がどのように変容する可能性を持つか、ということ。
個別テーマとしては、例えば:
それぞれのテーマについて、レポートの内容として最低限取り上げて欲しい項目は、
それをHTMLでまとめる。
その際、できるだけ次のことに注意する。
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