文化構造論演習 II
1999年度 第1部 後期・月曜4限
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講義概要
(この部分は履修概要に掲載したものと同じ)
- この授業では、ハイパーテクストの技術的な面での習得と、人文的な立場にとってハイパーテクストがメディア論的な文脈においてどのような理論的位置づけをとりうるか、といった問題を全体的なテーマとしながら、次の三つの点を扱う。
- 1. 文献学的な作業における基本的な考え方、約束事、資料へのアクセス・整理
- 2. ハイパーテクストの技術的習得(HTML、Microsoft Word, Excelによるハイパーテクスト構築と、その人文的な研究への応用)
- 3. ハイパーテクストが、従来の「テクスト」、「読む」という行為の概念、さらには人文的枠組みに対してどのよううな解体的作用を及ぼしうるかという理論的問題の考察。
授業はWindows NT環境のコンピュータを使用しながら行う。履修者数は機械の台数に応じて最大20人に限定する予定。履修当初はコンピュータの初心者であってもかまわないが、授業時間以外にも積極的にコンピュータを利用し、各々十分にコンピュータの使用に習熟することが要求される。
授業の目的と具体的内容の予定
この授業が最終的に目指していることは、「3.ハイパーテクストの理論的問題の考察」だが、とりあえずは、1. と2. の文献学上の作業の基礎とハイパーテクストの技術面の習得に重点を置く。これらに関しては、授業時間以外にそれぞれ課題に取り組んでもらう。
3. で考察することは、1.文献学的な作業というとりわけ人文的な考え方に対して、場合によっては解体的に作用することもあり得るのだが、ここではまず、人文的な目的のためにコンピュータを用いる、ということから入る。
- 1. 文献学的な作業
- 1.1. 「文献」について/文献の入手/参照・引用について/論文・レポート・発表の基本的な考え方・形/註について/文献リストについて
- 1.2. インターネット上での文献・情報検索/Excel, Accessなどを利用した文献整理/Wordのアウトライン機能
- 2. ハイパーテクストの技術的習得
- 2.1. ハイパーテクストとは/HTMLの技術的習得/HTMLエディターの紹介
- 2.2. Wordを用いたハイパーテクスト構築(htmlファイルではなく、docファイルで)――研究資料/アイディアカードとしての活用
- 3. ハイパーテクストの理論的問題
- 3.1. メディアの展開概観
- 3.2. 「テクスト」「読むこと」の理論/「テクスト」vs「ハイパーテクスト」
参考文献
- 1. 文献学的な作業
- 澤田昭夫『論文の書き方』講談社学術文庫
- 澤田昭夫『論文のレトリック』講談社学術文庫(604), 1983.
- アリアドネ『調査のためのインターネット』ちくま新書(084), 1996.
- 中尾浩・伊藤直哉『人文系論文作法』夏目書房,1998.
2. ハイパーテクストの技術的習得
非常に多くの種類のHTMLについて書かれた本があるので各自、適当なものを少なくとも一冊は入手してほしい。
それらの本もいくつかのカテゴリーに分けることができるが、大別すると以下のようなものがある。
- (1) HTMLの文法入門 (入門者用ガイドブック)――例えば、
- 河西朝雄・河西雄一『ホームページの制作』技術評論社、(第二版)1998.
- その他、「ホームページ〜」「HTML入門」といったタイトル
(2) HTMLタグのリファレンス (辞典的利用)――例えば、「HTMLハンドブック」「HTMLテクニック辞典」といったタイトル
(3) Webデザイン (上級者向け)――例えば、「HTMLデザイン」「Web〜」といったタイトル
HTMLにはいくつかのバージョンがあるが、HTML4.0に対応したものが望ましい。
(1) から少なくとも1冊、(2)もできれば1冊ほしい。(3)やその他はとりあえず不要。
- 3. ハイパーテクストの理論
- G・P・ランドウ『ハイパーテクスト』ジャストシステム, 1996.
- J・D・ボルター『ライティング・スペース』産業図書, 1994.
- T・ネルソン『リテラリー・マシン』アスキー, 199
- 山口裕之 「メディア・情報・身体――メディア論の射程」 '98インターネット講座
- http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/~yamaguci/inet_lec/inhalt.htm
- (とりわけ、その第12回「ハイパーテクストと文学理論」)
- また、ハイパーテクストに関するリンク参照。
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