文化構造論 II
2000年度 第1部 前期・木曜2限
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講義概要
(この部分は履修概要に掲載したものと同じ)
「文化」という概念が、時代によって、国によって、どれほど異なったものとして形成されてきたかを考察する。このことは、単に過去の概念の歴史にすぎないのではなく、われわれがある「文化的」産物(文学・芸術・都市・振る舞い・言語・衣服等々)をとらえる視線に関わっている。つまり、われわれがある文化的産物を研究の対象としようとするとき、それをどのような枠組みのもとに「文化」としてとらえようとしているのか、その枠組みは自分の内にどのように形成されてきたのか、ということを批判的に検証することでもある。
はじめにできるだけ広い視野から概念史を概観するつもりだが、講義全体としては、とりわけ次の二つの点に重点をおく予定である。
- 一九世紀ドイツにおける「文化」概念の形成。何人かの作家・思想家などのテクスト(日本語)を読む。また、同時代のフランス、イギリスとの対比。また、その連関において、明治以降の日本の西欧「文化」の移植。
- 二〇世紀後半の「文化」概念の転換。とりわけ、「カルチュラル・スタディーズ」など知の編成の転換に関わる場での「文化」概念。
テキスト・参考資料
詳しくは「授業計画」のページをご覧ください。
後半のカルチュラル・スタディーズを扱う際には、
グラム・ターナー『カルチュラル・スタディーズ入門』作品社、2800円
をテクストとして用います。
レポート
提出期限: 7月27日(木)
提出場所: 法502 (山口研究室) あるいは e-mail:
yamaguci@lit.osaka-cu.ac.jp
できれば、レポートに対するコメントを行いたいと思います。コメントを希望する人はできるだけe-mailにてレポートを提出してください。返信メールの形で、必要があればレポートを引用しつつコメントができますので。
e-mailではなく紙で提出する人でコメントがほしい場合は、レポートの最後にはっきりと「コメント希望」と書き、e-mailアドレスを明記してください。いずれにせよコメントはe-mailで行います。
重要な注意! e-mailで提出した人は、「レポートを受け取りました」という私からの返信が届いたことを必ず確認してください。万一、返信メールがこなかったときには何らかの手段で急いで私と連絡を取ってください。
課題: 以下の3つの大きなテーマに関連して、各自テーマを絞って書いてください。分量は4000字が目安です。
いずれの場合も、単に授業で私が話したことだけでなく、自分で調べたことを盛り込んでください。
- ドイツにおける「文化」概念、「教養」概念
- ドイツにおける「文化」「文明」「教養」の概念の展開を視野に入れつつ、その影響を強く受けた日本の明治(後半)・大正(あるいは現在に至るまで)の文化・教育について
- 旧来の文化概念との比較を視野に入れつつ、カルチュラル・スタディーズについて
1.の関連テーマとして例を挙げます。
- 第一世界大戦開戦時の知識人の反応
- ドイツにおける大学の理念
- 19世紀末から20世紀末にかけてのドイツ知識人の特徴
2.の例:
- 明治・大正期の文学(あるいは芸術・哲学・政治思想など)の流れと西洋の思想との関係
- 大学における「教養部」の理念と歴史的な展開
- 大学における外国語教育の位置づけ・理念とその展開
- 大正時代の「教養主義」について
- 大正時代の「文化主義」論争について
- 明治以降現在に至るまでの日本の「文化概念」の展開
3.の例:
- カルチュラル・スタディーズの歴史と特徴
- 「カルチュラル・スタディーズ」として現在、どこにどのような研究機関があり、どのような研究がされているか
- また、自分でそういった「カルチュラル・スタディーズ」的な視点から、ある対象(たとえば携帯電話・ファッション...)について論じる
- 日本における「カルチュラル・スタディーズ」
授業であげた以外の参考文献:
- 文化論研究会編『文化論のアリーナ』晃洋書房
2000
- ポール・ドゥ・ゲイ『実践カルチュラル・スタディーズ ソニー・ウォークマンの戦略』大修館書店 2000
- キャンベル/キーン『アメリカン・カルチュラル・スタディーズ−−文学・映画・音楽・メディア』醍醐書房 2000
- リン・チュン『イギリスのニューレフト カルチュラル・スタディーズの源流』彩流社 1999
- 花田達朗/吉見俊哉『カルチュラル・スタディ−ズとの対話』新曜社
1999
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