Home研究活動談話研究と日本語教育>プロジェクトの目的・15,16年の成果


プロジェクトの目的

 本研究の目的は、情報工学の成果を活用しつつ、談話研究と日本語教育の有機的な統合を行うための基礎的研究を行うとともに、その成果の一つとして、自然談話データ・コーパスの分析結果に基づく、会話習得のためのマルチメディア教材の試作を行うことである。
 
 基礎的研究としては、日本語の談話はもとより、日本語学習者の母語における談話レベルの言語行動の特徴の日本語運用への影響を分析するために、韓国語、中国語、英語の談話データを収集・分析する。


 また、膨大な時間と労力がかかる自然会話データの分析の効率化、精緻化を促進するため、科学的で、共有しやすい手順に従って、文字化した談話コーパスを構築し、広く共有化することを目指す。(基本的な文字化の原則(Basic Transcription for Japanese:BTSJ」)(宇佐美、1997)の改定版の作成」
 更にこれらのデータを分析した成果に基づいて、マルチメディア教材化についても研究し、その上で、実際に、日本語教育の現場、あるいは、Web上で活用できるようなマルチメディア教材を試作する。
 
 本研究によって、これから、だんだん盛んになり、必要性が増してくるであろうe-learning教材、特に、未だほとんど開発されていない「自然会話データ」の分析に基づく「談話レベルの言語行動」の習得を企図するe-learning教材作成への基礎を、先駆けて作成し、公表することを目指す。

15,16年度の成果

本研究の目的は、情報工学の成果を活用しつつ、談話研究と日本語教育の有機的な統合を行うための基礎的研究を行うとともに、その成果の一つとして、自然談話データ・コーパスの分析結果に基づく、会話習得のためのマルチメディア教材の試作を行うことである。

<談話研究と日本語教育の有機的統合のための基礎的研究>の一環としては、日本語学習者の母語における談話レベルの言語行動の特徴の日本語運用への影響を分析するために、昨年度より進めてきていた韓国語、中国語、英語の談話データの収集・データ整備を継続し、さらなるデータ分析を行った。さらに、イタリア語、ポーランド語のデータの整備にも着手した。(「多言語、多目的別の談話コーパスの構築と分析」)

 また、膨大な時間と労力がかかる自然会話分析の効率化、精緻化を促進するために開発された「改訂版:基本的な文字化の原則」(BTSJ)に基づく韓国語版(BTSK)、中国語版(BTSC)、英語版(BTSE)の再検討・修正を行い、これら3言語の文字化の原則の改定作業を進めた。また、イタリア語版(BTSI)、ポーランド語版(BTSP)の作成にも着手し始めた。
 

 また、<談話研究と日本語教育の有機的統合>に生かすため、「Webを利用した外国語教育」に関する視察・調査・資料収集を行った。

その上で、これまでに行ってきた自然会話の分析結果に基づいて、「自然会話のマルチメディア教材化」について検討し、日本語教育の現場(教室場面)、あるいは、Web上(独習場面)で活用できるような「マルチメディア教材(自然会話・動画)」の試作版を作成した。

本研究では、これから益々必要性が増してくるであろうe-learning教材、中でも未だほとんど未開発である、加工されていない「自然会話」を、「談話レベルの言語行動」の習得を目的としてe-learning教材化していくための「原型的教材」を先駆けて試作した。


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