本稿は、国際政治学において国家主権概念がどのように理解されてきたのかについて探求するものである。その際に特に1945年以降の国際政治理論において影響力を持つ現実主義の流れの中で、国家主権概念が、またそれに関連して「国家中心主義モデル」としての「ウェストファリア体系」の概念がどのように理解されてきたのかについて考察する。具体的には カー、モーゲンソー、ブル、ウォルツに焦点をあて、彼らが異なった多様な主権概念を持っていたことを明らかにする。さらに4人の理論家の分析を通じて、第二次世界大戦前後と1970年代の国際政治環境の違いが理論形成に与えた影響、そしてイギリス的伝統とアメリカ的伝統の違いについて指摘する。
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