重層的な国際秩序観を見出すための一つの契機を模索しつつ、「モンロー・ドクトリン」に着目することによって、超大国アメリカが伝統的に抱いてきた国際秩序観を検討することを試みた。20世紀後半に成立した学問的見取り図では必ずしも「理想主義」的であるとも「現実主義」的であるとも判断できないような国際秩序観を、超大国アメリカは伝統的に保持してきた。その事実を示すことによって、単線発展的な国際秩序のイメージに、一定の重層的な構造の意識を埋め込む。
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