コソボに駐留する軍事組織と、コソボに展開する国際的な文民組織との関係は、紛争後社会における軍と非軍事諸機関との関係を示す一つの重要事例となっている。そのコソボに焦点をあてて、武力紛争後の復興活動における軍と非軍事諸機関の協力関係について考察した。まず第一節においては、北大西洋条約機構(NATO)軍が1999年に軍事介入するまでのセルビア共和国内の政治情勢の経緯と、その背景にある国際政治の状況の分析を行った。第二節では、NATO軍のコソボにおける活動任務が、武力紛争終結後に形成された過程を見ていった。第三節では、NATOの軍事介入によって生まれた武力紛争中に生まれた民軍協力の状況と、そこで浮き彫りに成った問題を概観した。第四節では、武力紛争の終結後に生み出された民軍協力の枠組みについて整理する作業を行った。第五節は、安定化の段階における民軍協力の傾向を確認した。第六節では、コソボにおいて展開した民軍協力の中で見えてきた教訓を抽出する作業を行った。
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