国際関係学においては、両大戦間期に理想主義が支配的であり、その後に現実主義が台頭したという認識が一般的である。しかしそこで理想主義とされる人々は、必ずしも力の論理と無縁だったわけではなく、むしろ国際社会における英米の力の優位の感覚と密接に結びついていた。この論文では、戦間期からモーゲンソーによる政治的現実主義の登場へのつながる時代の国際思想を、特に国家主権概念をめぐる言説に着目して検討し直す。
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