『膨張する中国の対外関係 ― パクス・シニカと周辺国』 勁草書房から出版された天児慧・三船恵美編『膨張する中国の対外関係―パクス・シニカと周辺国』(2010年6月,3150円)第五章(pp.185-236)に,拙稿「中国の対台湾政策の展開 ― 江沢民から胡錦濤へ」が収録されています。当該書籍を参照していただければ幸いです。(2010年7月) |
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東京外国語大学 小笠原 欣幸 |
一 はじめに 二 江沢民政権期の中台関係
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【第五章 要旨】 中国経済の急成長により、台湾は中国の経済圏に組み込まれるようになった。しかし、民主化後の台湾は、四年に一度の総統選挙を経るたびに台湾アイデンティティが強まり、中国との統一を望む民意は減少した。胡錦濤政権の対台湾政策は、江沢民時代の「原則主義的アプローチ」とは異なり、柔軟で執行力の高い「機動的アプローチ」を展開した。胡政権は、戦略目標の「平和的統一」は変えていないが、「両岸関係の平和的発展」という概念を打ち出し、政策の優先順位を統一の促進から現状維持へと切り替えた。これは中国の平和的大国化の戦略を対台湾政策に適用したもので、台湾への影響力を拡大する成果をあげた。だが、台湾では大国化した中国に対する警戒感も強く、中台関係の不確実性は依然として大きい。 |
編者:天児慧・三船恵美 出版:勁草書房 書名:『膨張する中国の対外関係 ― パクス・シニカと周辺国』 出版年月:2010年6月 定価:3000円+税 |
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