フリー素材柚莉湖♪風と樹と空と♪
2019年8月22日 アジア調査会シンポジウム


8月22日時点での台湾総統選挙情勢(要旨)
フリー素材柚莉湖♪風と樹と空と♪ 東京外国語大学
小笠原 欣幸

2019年8月22日 アジア調査会主催の国際シンポジウム「変容する現代台湾:政治・社会意識の変化とソフトパワーの魅力」が開催されました。当日は,張瑞昌さん,野嶋剛さん,坂東賢治さん,小笠原の4人で登壇。私は,台湾の民主主義と総統選挙がソフトパワーであることを指摘し,現時点での台湾総統選挙情勢について解説しました。その選挙情勢の話の要旨をUPします。シンポジウムの講演記録は後日『アジア時報』に掲載されます。(選挙情勢は2019年8月22日時点の分析です)


 昨年末から今年初めは蔡総統の再選の目は消えたというのが普通の見方であったが,今年に入って蔡英文に強い追い風が吹いた。1つは1月の習近平演説,そしてもう1つは香港の抗議行動。米の台湾支援の態度が加わり,現時点の選挙情勢は蔡総統有利に転換した。
 韓國瑜の対中政策は,「92年コンセンサス=一中各表」であるが,習近平は国民党の一中各表を否定している。韓國瑜が当選すれば「92年コンセンサス」を基礎に両岸対話が再開するが,それは「92年コンセンサス=一つの中国で統一促進」という習近平の定義を受け入れることになる。これが海外の学者の一般的な見方だ。韓國瑜はその疑問への説明ができていない。また,韓國瑜は日本を重視していない。
 柯文哲の新政党「台湾民衆党」立ち上げは,立法委員選挙での議席獲得狙いで,総統選不出馬を決意した表われ。現在,柯は郭台銘との協力を探っている。だが,柯と郭は同床異夢。表面で協力しているように見せるのではないか。
 郭台銘が出馬すれば大きな話題にはなる。しかし,選挙戦は藍緑対決構造に回帰する傾向があり,第三の候補郭が支持を大きく伸ばすのは難しいであろう。棄保される可能性もある。
 F16の売却決定はこれからじわじわと蔡有利にはたらく。中間派の間では,中国に対する警戒感が去年より高まっている。これも蔡に有利,国民党に不利。香港情勢も蔡に有利,国民党に不利な選挙議題。台湾の人々の香港への関心は投票日まで続く。
 ただし,蔡英文がこのまま一直線にいけるわけではない。これから立法委員選挙も始まるが,各選挙区では昨年噴出した民進党を嫌う空気が残っていて,民進党は立法委員選挙で苦戦する。
 「米中対立の中で台湾はどうするか?」が選挙の行方を決する重要な争点になる。これから5か月間の米中の動きを中間派の選挙民がどう考えていくかがカギになる。
 蔡英文に票を入れた場合は,台湾人としての意地を示すことができる。しかし,この先の4年間,中国から圧力をかけられ,経済的な不利益を覚悟しなければならない。
 一方,韓國瑜に票を入れた場合は,中台関係の改善と,北京からの経済的恩恵を期待できる。だが,台湾の主体性が一段弱まることを覚悟しなければならない。
 台湾の有権者は,このどちらかを選ばねばならない。一票が非常に重たい選挙になる。来年1月 台湾の人たちがどういう選択をするのか,民主主義という台湾のソフトパワーはこれからも輝き続けるのか,日本からも見守っていきたい。

[メディア報道]
「日本テレビ」のニュースで取り上げられました。
http://www.news24.jp/articles/2019/08/23/10487099.html

『中央社』『自由時報』『毎日新聞』でも記事が出ています。
https://news.ltn.com.tw/news/world/breakingnews/2893158
https://www.cna.com.tw/news/aipl/201908220396.aspx
https://mainichi.jp/articles/20190822/k00/00m/030/252000c


出所:TVBS,美麗島電子報の民意調査を参照し筆者作成







2019年8月22日 日本記者クラブホール

フリー素材柚莉湖♪風と樹と空と♪   フリー素材柚莉湖♪風と樹と空と♪   フリー素材柚莉湖♪風と樹と空と♪   フリー素材柚莉湖♪風と樹と空と♪   フリー素材柚莉湖♪風と樹と空と♪ 
OGASAWARA HOMEPAGE