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2018年台湾統一地方選挙コメント(簡略版)
自滅した蔡政権 |
東京外国語大学 小笠原 欣幸 |
![]() 2016年の歴史的選挙からわずか2年半で台湾政治は大きな転機を迎えた。国民党は2016年の敗北からたいして変わっていない。これは国民党の勝利というより蔡英文政権の自滅というべきである。民進党はいま台湾社会の潮流から取り残され茫然としている。 民進党の敗因は,(1)選挙戦略の失敗,(2)蔡政権の失政,(3)台湾政治における民進党の位置づけおよび中台関係要因という短期,中期,長期の問題の複合にある。本文でこれらを論じていくが,最初に概要を示しておきたい。 ![]() また,民進党は反体制の政党であったが,いまやエスタブリッシュメント化している。しかし,民進党自身にそうした自覚は薄い。そこを突いたのが韓国瑜氏だった。 選挙戦略の失敗は,まず,柯文哲と決裂し台北市で独自候補立てたことである。次に,地方選挙では個々の候補の評価が争点であるのに,蔡政権は「改革を支持するか否かの選挙」と位置づけた。これで中間派を一気に反対側に押しやり,蔡政権は自滅した。 中国に近づくか,距離を取るか,台湾は「(経済的)繁栄と自立のジレンマ」にあるが,選挙民は「繁栄も自立も」要求する。4年前は「自立」を求める面が強く出たが、今回は「繁栄」に振れた。どの政党が政権についてもその両方に応えるのは難しい。 台湾の選挙民の主権者意識は非常に強い。そして思い切りがよいので,自分たちの期待に沿わなければすぐに変えようと動く。それで台湾政治はいつもダイナミックであるが,政策を長期的にじっくり監督していくというのは苦手だ。これでは政治はなかなか安定しない。台湾の民主主義の試行錯誤はこの先も続くだろう。(続く) ![]() ![]() ![]() http://www4.nhk.or.jp/nradi/24/ ![]()
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