2000年度1学期の期末試験の解答例とコメントです。

なおアンケートについては、集計結果小生のコメントを別のページで紹介していますので参照して下さい。未提出の人は今からでも構いませんからぜひ出して下さい。メールで送っていただいても結構です。

 

問題T 解答例とコメント

問題U 解答例とコメント

得点分布一覧表

 

 

問題T.次の日本語文を、テキストの表現を用いてスペイン語に直しなさい。

注意:[ ]内の指示に従うこと。また時制に注意せよ。

1.森は外相ポストに就いたことが一度もなく、国際問題での経験を欠いている。

 

原文:
En cualquier caso, Mori, que no ha ocupado jamas las carteras de Economia ni Asuntos Exteriores, carece de experiencia en materia internacional.
解答例:

Mori, que no ha ocupado jamas la cartera de Asuntos Exteriores, carece de experiencia en materia internacional.

コメント:

ご覧の通り、ほとんど原文通りです。むしろ原文より簡単になっています。スペイン語の作文をする時には、西和辞典で調べた単語を足し算して組み合わせていくと大体が不自然なスペイン語になります。むしろこのようにモデルとなる文から引き算して(同時に適切に変化させながら)文を作っていく方が簡単ですし、スペイン語らしい文になります。

原文では二つのポストですから "las carteras" と複数になっていますが、問題では「外相ポスト」 一つですので単数形です。丸暗記そのままで複数にした人が何人かいました。

"carecer" の後の "de" を忘れないように。

テキストからの「借文」ではなく、手持ちの知識で "le falta la experiencia" とやった人が何人もいました。もちろんこれはこれで正しいのですが、「テキストの表現を用いて」という指示に違反したということで減点します。というのもこの試験は西作文の試験ではないからです。自分が知っているあらゆる知識を動員してスペイン語で表現するという試験ならもちろん正解にしますが、この試験はあくまでも西文購読の一環だからです。

(と以前書いたのですが、その後テキストを見直したら、別の箇所に "le faltan" の表現がありました。それを使ったとも言えるわけで、減点した答案については採点を修正しました)。

西文読解の授業ということで小生が目指していることはすでに最初の授業の時に述べましたし、このホームページでも説明しています。ここでは少し別の角度から補足しておきましょう。それは、「話す」力は「読む」力に依存する、ということです。

現在、「コミュニケーションの手段だ」ということで「話せる」語学を身につけることを何よりも優先させる考え方が強くなっています。しかし、そのことが、読むことや文法の学習の軽視につながるのであれば、小生は賛成できません。

もちろん、「話せる」こと、すなわち、自分の考えを口頭で相手に伝える能力は非常に重要なことです。だが、何を、どのように伝えるのか。

あいさつや日常会話を身につけることは実はかなり簡単なことで、現地で半年も生活すればひととおりできるようになります。問題は、あいさつや天候の話、好きな食べ物や趣味について軽くおしゃべりした後、さて、もう少し突っ込んだ話題を、というときです。そうした会話でどれほどコミュニケーションできるのか、ということこそ重要な点です。そして断言できるのは、「読む」ことをしないかぎり、現地で何年生活しようともこうしたコミュニケーション、会話は決してできるようにはならない、ということです。

たとえば、「日本の政治は今どうなっているのですか」、「日本は世界経済の中でどのような役割を果たしているのですか」、「沖縄サミットをどう考えますか」などと聞かれたときに、何を、どのように伝えることができるのか。

まず、「何を」、すなわち話の「内容」についてですが、どれくらい中身のあることを話せるかということは、どれくらい自分なりの考えを持っているのか、ということで、これは「西文購読」とは一応別のことですからここでは脇におきましょう。(ただ、アンケートの中で、 「専門用語の洪水で、日本語もスペイン語もわからない」という回答がありましたが、これはかなり問題を含んでいます。われわれが読んだテキストは決して専門の学術書ではなく、ふつうの人が毎日読む新聞であるわけで、大学で学んだ人間であるならいわば「常識」に属することですから。)

さて次に「どのように伝えるか」というときに問題となるのが、スペイン語力です。スペイン語力とは、端的に言えば、次の二つをどれだけ自分の中にストックしているか、ということになるでしょう。すなわち、

(1)単語、熟語

(2)構文

の二つです。

この二つをストックするには多くのさまざまな種類のテキストを読む以外にはありません。いや、「自分はすべて音でいくのだ」というならそれはそれでいいですけど、ためしに、たとえばスカイパーフェクトのスペイン国営放送を1日ぶっとおして聞いて何が身に付いたかを振り返ってみれば、短いテキストを数時間かけて読み込んだ方がずっと効率的に学べることがわかるでしょう。(もちろん、両方やるのであれば、それに越したことはありません)

ただし、漫然と読むだけではだめです。読みながら、一つ一つの文について、「この文はどれほど応用がきくのだろうか」と考えながら読むのです。そしてそのためには、一つのスペイン語文をさまざまな日本語に訳してみるのが効果的です。そうした作業を行うことで、「なるほど、こうした日本語はこういう風にスペイン語で言えばいいのか」ということがわかってくるはずです。別の言い方をすれば、訳すときに単なる「置き換え」をやっているだけではこうした力は決してつかないということです。

こうやって一つ一つ綿密に分析して読んだ後、そしてすべての疑問点を解決した後、丸暗記する。これが秘訣です。

こうした努力を日常的に積み上げていくことではじめて、単なる日常的なおしゃべり以上の複雑な内容をスペイン語で話したり、書いたりしたりすることができるようになります。ですから、小生が試験の柱を「借文」におき、そしてまた「テキストの表現を用いて」と指示しているのも、上に述べたような読み方をして欲しいからなのであり、あくまでも「西文購読」の一環なのです。

繰り返します。この試験は、われわれが授業で読んできたテキストについてどれほどこうした読み方をしてきたのかを問う試験です。そうした意味で、あくまでも「西文読解」の試験であり、作文力を見る試験ではありません。

もちろん、暗記が必要ですから単なる「西文読解」の試験というわけではありませんが、皆さんは試験の準備で暗記するときに、「借文」ということでもう一度スペイン語のテキストを読み直したはずです。その時になって初めて、「この文は使えるかどうか」をチェックしながら読んだ人も多かったでしょうが、要はそれをふだんから日常的にやって欲しいということです。

そうした意味で、この試験は単なる暗記ではなく、そうした「勉強の仕方」を見る試験、あるいは「勉強の仕方」を強制する試験でもあります。

 

2.田中角栄が政権の座にあった2年間に、日本がそれに先立つ20年間以上に大きく変わったことは間違いない。[時制に注意すること]
原文:
Durante los 19 meses que ha estado Obuchi en el poder, Japon ha cambiado, sin duda, mas que en los 10 anos anteriores.
解答例:
Durante los dos anos que estuvo Kakuei Tanaka en el poder, Japon cambio, sin duda, mas que en los 20 anos anteriores.
コメント:

ご覧の通り、これもほとんど原文通りです。ただし時制に注意して下さい。これは過去の話(1970年代)ですから、点過去にします。しかし実際には、テキストの時制をそのまま使って現在完了にした人がかなりいました。またなぜか過去完了(大過去)を使った人も目立ちました。

また副詞句の "sin duda" を日本語では「間違いない」と訳してあることに注意して下さい。これを逆に言えば、日本語で「間違いない」という表現をスペイン語に直すときに、いつも "es seguro que" などの形で表現する必要はなく、このように副詞句の形にすることもできる、ということです。日本語からスペイン語に、あるいはスペイン語から日本語に訳すときに、動詞は動詞に、副詞は副詞に、といった具合に同じ品詞にする必要は必ずしもないこと、品詞を変えて訳した方がむしろ自然な表現になる場合があることをおぼえておいて下さい。こうしたテクニックを身につけるには、ふだんから常にスペイン語の文をいろいろな日本語の表現に直してみる練習をすることです。たとえば、いつも、"sin duda" が出てくるたびに機械的に「疑いなく」と訳している限り、こうしたテクニックは身に付かないでしょう。こうした問題を出すのも、そのことに気が付いて欲しいからです。

"sin duda" の位置にも注意すること。この位置にあるからこそ "Japon cambio" を修飾しているのがはっきりするわけで、これを例えば "Japon camibo" の前などに置くと修飾関係が曖昧になります。語順を身につけるには、やはりふだんから何度も朗読することでスペイン語のリズムを掴むことが必要です。

なお、実際の解答では、"no hay duda que""es seguro que" などの表現を使っている人がかなりいました。

「変わった」に "convertirse" を使った人がいましたが、"convertirse" は「何か別物になる」というときに使い、"en" を伴って変化した結果を明示します。たとえば、「夢が現実になる」(El sueno se convirtio en realidad.といった具合です。"en" を伴わずに "se convirtio" と単独で用いられた場合にはふつう「改宗した」という意味となります。

 

3.従来の図式を改めることなしに日本が経済再編を果たすことは難しい。[単文で]

原文:
Los profundos cambios derivados de la globalizacion, la necesidad de reestructurar la economia y modificar los tradicionales esquemas financieros y comerciales constituyen desafios que los paises mas pobres dificilmente pueden resolver sin ayuda.
解答例:
Dificilmente Japon puede reestructurar la economia sin modificar los tradicionales esquemas.

コメント:

前問同様、日本語では「〜は難しい」という表現がスペイン語では副詞の "dificilmente" になっていることに注意して下さい。「〜は難しい」というのをいつも "es dificil que" とやるだけ、というのでは寂しいと思いませんか。"dificilmente" という副詞の使い方をおぼえておいて欲しいからわざわざ「単文で」という指示をしました。

さて、こうした形式の試験をするとほぼ必ず、「スペイン語では他にもいろいろな言い方があるのだから、「テキストの表現を用いて」と制限するのはおかしい」というコメントが返ってきます。その通りです。スペイン語には一つのことを言うのにも色々な表現があります。「テキストの表現を用いて」という制限事項はまさしくそうした色々な表現を学んでもらうためにつけてあるのです。この制限を取っ払ってしまえば、あなた方はいつまでも "es dificil que" という表現しか使わないことでしょう。「他にも色々な言い方がある」のにもかかわらず、にです。今の段階で、諸君のボキャブラリーの数などきわめて限られています。今やるべきことは、まさに「いろいろな言い方」、さまざまな表現を仕入れることです。そのための授業であり、そのための試験です。もちろん、今でも、たとえばスペインに旅行したときなど、スペイン語を実際に使う場面になったときには、それこそ、自分がそれまで仕入れてきた表現を自在に使ってくれて結構です。だがそのためにも、あらゆる機会を使って(たとえばこの試験もそうした機会の一つです)、表現のストックを増やしておきましょう。

「従来の」は "tradicional" を使えばいいのだということは、ふだん日本語訳をするときに "tradicional" をそのまま「伝統的な」と置き換えているだけでは気が付かないでしょう。つまりふだんから、スペイン語の単語がどのような意味を持っているのかを掴む努力をし(それには西西辞典を使うのが効果的です)、その上でそうした意味はどのような日本語の表現をとりうるのかいろいろ工夫してみることが必要です。

なお、"esquema" は男性名詞です。"la" をつけた人がかなりいました。

 

4.工業世界と発展途上国の間の深い溝は縮まるどころか拡大している。

原文:

El abismo entre el Norte y el Sur, donde las economias son extremadamente vulnerables a factores externos, lejos de reducirse, se agranda.

解答例:

El abismo entre el mundo industrializado y los paises en desarrollo, lejos de reducirse, se agranda.

コメント:

ほとんど原文と同じです。むしろ、引き算をして簡単になっています。

「発展途上国」という表現はよく使います。おぼえておいて下さい。"los paises subdesarrollados" は日本語の「低開発国」にあたります。「後進国」(los paises atrasados)ともども以前はよく用いられましたが、否定的な意味合いが強いということでより無難な「発展途上国」という表現が考案され、今ではこちらの方が一般的に用いられています。

 

5.村の主要な収入源[単数]が脅かされたのをきっかけに住民は当局に反乱を起こした。[単文で]

原文:
El episodio de Todos Santos y la amenaza contra el turismo, una de las principales fuentes de ingresos del pais, han llevado a la opinion publica a rebelarse contra una realidad que le parecia ajena.
解答例:
La amenaza contra la principal fuente de ingreso del pueblo llevo a los vecinos a rebelarse contra las autoridades.
コメント:

これも引き算です。ただ、"pais""pueblo" に、"la opinion publica" "los vecinos" に、"una realidad" "las autoridades" に置き換えてあります。モデルとなる文をおぼえ、その文の構造を利用しながら単語を入れ替えることで別の文へと加工してやるのがスペイン語らしい文章を書く一つのコツです。

あと、日本語の表現とスペイン語の表現を比べてみて下さい。まず、日本語文では、「脅かされた」、「反乱を起こした」と二つの動詞がありますが、スペイン語文は単文、すなわち主語と述語が一組しかありません。日本語文では「脅かされた」と動詞だったのが、スペイン語では "la amenaza" と名詞で表現されているからです。授業でも何度か指摘したように、日本語では動詞を用いるところをスペイン語では(そしてまた英語でも)名詞で表現することが非常に多いのですが、この文もそうした例の一つです。

言い換えれば、日本語文の構造をそのままスペイン語に置き換えると動詞の多い、非常に冗長なスペイン語文になってしまうことが多く、またその逆に、スペイン語文の構造をそのまま日本語に置き換えると、名詞(しかもその多くは漢語)だらけの、きわめて硬く読みづらい文章になってしまいます。日頃から、そうした構造上の違いをしっかり押さえた上で訳出するようにして下さい。

また、このこととも関連しますが、日本語では「〜をきっかけに」となっているのに対して、スペイン語文では これを動詞 "llevar" を使って表現していることにも注意して下さい。ふだんから、スペイン語文を日本語に訳すときに、なるべく自然な日本語になるように品詞を変えて訳してみることが、スペイン語らしいスペイン語文が書けるようになることにつながります。

 

6.解散総選挙の後、政権を維持するために森首相がどのような戦略を取るのか世論は注視している。

原文:
Peru esta pendiente de cual sera la estrategia del presidente Alberto Fujimori despues de la pantomima electoral para seguir cinco anos mas en el poder.
解答例:
La opinion publica esta pendiente de cual sera la estrategia del primer ministro Mori despues de las elecciones anticipadas para seguir en el poder.
コメント:

これもほとんど原文と同じで、引き算と単語の入れ替えだけです。

「〜の後」で "detras de" を使わないように。この表現はもっぱら場所について用います。

 

7.(彼は)地元選出の代議士秘書を短期間つとめた後、32歳で初当選した。

原文:
Mori empezo a dedicarse a la politica a los 32 anos, despues de ser brevemente periodista en el diario de derechas Sankei Shimbun y secretario de un diputado por su region natal. Resulto elegido por primera vez en 1969.
解答例:
Resulto elegido por primera vez a los 32 anos, despues de ser brevemente secretario de un diputado por su region natal.
コメント:
ご覧のように、隣り合った二つの文を利用して新しい文を作りました。

 

8.エイズの発病率がもっとも高いのは発展指数がもっとも低い国々である。

原文:

La mayor incidencia de linchamientos se da en las regiones mas azotadas por el conflicto armado que asolo Guatemala durante 36 anos y que dejo alrededor de 200.000 victimas y un legado de barbarie que sigue supurando.

Son tambien las areas con menor indice de desarrollo y con menor presencia institucional.

解答例:
La mayor incidencia del sida se da en los paises con menor indice de desarrollo.
コメント:

前問同様、これも隣り合った二つの文から作りました。

ただし、この問題では小生がチョンボをしました。問題では「発展指数がもっとも低い」となっており、本来なら解答は "con el menor indice de desarrollo" となります。ここで解答例として "con menor indice de desarrollo" としたのは、テキストの表現をそのまま使ったためで、こうした解答を要求するならば、本当は問題文で「発展指数がより低い」としなければなりませんでした。ごめんなさい。ということで、"el" があってもなくてもここではマルとします。

 

9.村に犯罪者が一人がやってきたという噂が広まっただけでパニックが起きた。[単文で]

原文:

El estallido de locura, sin embargo, se habia alimentado en los dias previos, con la difusion de rumores sobre la llegada a la region de "sectas satanicas" que iban a utilizar ninos para realizar sacrificios humanos

Una acusacion de hechiceria o el robo de una gallina bastan para desencadenar el terrible castigo.

解答例:
La difusion de rumores sobre la llegada al pueblo de un delincuente basto para desencadenar el panico.
コメント:

この問題は5番と同じ趣旨です。日本語の文では「やってきた」と「起きた」という二つの動詞がありますが、スペイン語の文では、前者は名詞で表現しています。日本語では動詞で表現するところをスペイン語では名詞で簡潔に表現できるということをぜひとも「痛感」して欲しくて出した問題です。

もう一つのポイントは "bastar" です。日本語の「〜だけ」は "solo" だけでなく、他の単語でも表現できることを学んで下さい。ふだん、"bastar" を「十分である」と訳して満足しているだけでは、こうした訳が可能であることに気が付かないでしょう。ふだんから、スペイン語の文章を購読する際にいろいろな日本語の表現を使って訳してみることが必要です。

 

10.後退することは彼の計画にはない。

原文:

Negociar con sus adversarios no entra en sus planes.

Nunca ha dado un paso atras,

解答例:
Dar un paso atras no entra en sus planes.
コメント:
これも二つの文を使って別の文を作ってみました。

 

11.アラファト(Arafat)は、イスラエル(Israel)が10年前に約束したことを果たすよう求めた。

原文:
El secretario general de las Naciones Unidas, Kofi Annan, y mas de 50 jefes de Estado o de Gobierno -desde el lider de la Autoridad Palestina, Yasir Arafat; el presidente de Indonesia, Abdurrahman Wahid; de Venezuela, Hugo Chavez, o de Colombia, Andres Pastrana- pediran acceso a los mercados, recursos financieros, tecnologia y que el mundo industrializado cumpla con lo prometido hace ya tres decadas:
解答例:
Arafat pidio que Israel cumpliera con lo prometido hacia ya una decada.
コメント:

これも引き算とちょっとした単語の入れ替えです。あとは時制を変化させることができるかどうかがポイントです。例えば "hace" "hacia" に直すことを忘れずに。でもかなりの人が正しく変化できていませんでした。

"pedir" の活用をしっかり押さえておさえておいて下さい。間違っている人がいました。

 

12.非民主的なやり方への非難が広がるのを見て彼は三選に立候補しないことを決めた。[単文で]

原文:

el chino habia decidido presentarse para un tercer mandato

A la vista de la denuncia generalizada de practicas fraudulentas, el candidato opositor, Alejandro Toledo, pidio el aplazamiento de la segunda vuelta y anuncio que boicotearia los comicios si se mantenia la fecha del 28 de mayo.

解答例:
A la vista de la denuncia generalizada de practicas antidemocraticas, decidio no presentarse para un tercer mandato.
コメント:

これも二つの文から作りました。あと、5番、9番と同様に、日本語文での動詞(この場合には「〜を見て」)を、スペイン語では名詞を使って言えることを改めて確認して欲しかったので出した問題です。

また、スペイン語では "A la vista de la denuncia generalizada" とあるのが日本語では「非難が広がるのを見て」となっているのにも注意して下さい。スペイン語をそのまま日本語に置き換えれば「広がった非難を見て」となりますが、むしろ問題文のように訳したほうが自然でしょう。逆にいえば、こうした日本語の表現を、スペイン語では形容詞(過去分詞)と名詞の組み合わせで表現できる、ということです。

 

13.コマンド部隊が宮殿を奇襲し、顧問を皆殺しにした。

原文:
sus fuerzas especiales asaltaron por sorpresa la residencia y no dejaron un solo terrorista vivo.
解答例:
El comando asalto por sorpresa el palacio y no dejo un solo asesor vivo.
コメント:
これは簡単だったでしょう。単に単語を入れ替えるだけです。ただし、"solo" にはアクセント記号をつけないように。この場合、"solo" は形容詞です。

 

14.団結することによってのみ自分たちの生存権を守ることができると彼らは気がついた。

原文:
Los pobres tendremos que acabar de darnos cuenta de que solo unidos podremos lograr que los ricos nos escuchen; que solo unidos podemos defender con exito nuestro derecho a la vida, al desarrollo, a la cultura y a la justicia social"
解答例:
Se dieron cuenta de que solo unidos podrian defender con exito su derecho a la vida.
コメント:

これも引き算です。このようにまず長い文をおぼえ、その後、実際に利用する際には引き算して文をつくる方が簡単ですし、応用がききます。

しかし単なる丸暗記ではダメです。"podrian defender" をテキストそのままに一人称複数にした人がかなりいました。

またきわめて基本的なことですが、"dar" の過去、"poder" の過去未来の活用形ができていない人がいました。しっかり復習しておいてください。

"el derecho"(権利)を "la derecha"(右、右翼) とやった人がかなり目立ちました。

 

15.米国政府は中学校においてスペイン語を必修とすることに反対の態度を取っている。

原文:
La sorpresa del debate aparecio con la intervencion de dos representantes del Ministerio de Educacion brasileno que se manifestaron contrarios a la aprobacion de la ley.
解答例:
El gobierno norteamericano (de los Estados Unidos) se muestra contrario a la obligatoriedad del espanol en las escuelas de secundaria.
コメント:
最後にやったテキストも一応試験範囲に含めたので、そこからまったく出題しないのも問題があると思い、フジモリのテキストでも出てきた表現(mostrarse + 形容詞)とごく簡単な単語を使った問題を作ってみました。

 

問題U.次の文を読んで下記の問いに答えなさい。
Sin duda, las nuevas tecnologias pueden convertirse en motor de un nuevo desarrollo mundial. Pero, de momento la nueva economia y el nuevo crecimiento crean mayores diferencias, no solo entre paises, sino en el seno de las sociedades. El protofenomeno puede ser la India, con un crecimiento economico espectacular y una parte de su economia plenamente integrada en el mundo digital, pero con gigantescas bolsas de miseria. Los dirigentes de los siete paises mas industrializados mas Rusia han encargado a un grupo de trabajo sobre la Oportunidad Digital la elaboracion de un plan de infraestructuras de comunicacion en el Tercer Mundo, que (1) debera presentar su informe el ano proximo.
Las economias desarrolladas deberian ser conscientes de que no es posible un mundo en equilibrio con tales desigualdades. La revolucion digital puede aportar nuevas oportunidades para combatir el atraso de muchos paises, y hacer, como ha senalado el presidente frances, Jacques Chirac, que el siglo XXI sea el de la lucha contra la pobreza, frente al XX, que lo fue por la independencia (2). Hara falta mucho mas que buenas palabras para resolver esa nueva brecha (3).

(El Pais Digital, 23 de julio, 2000)

 

1.下線部 (1) の先行詞は何か。(5点)
正解は un grupo de trabajo sobre la Oportunidad Digital です。

これはほとんどの人ができていました。それだけに間違えた人はかなり問題です。

 

2.下線部 (2) の中の "lo" は何を指しているか。(5点)

これは直接目的語の中性形で、前述の文やその一部を受けます。この場合、正解は el (siglo) de la lucha です。このように ser の補語となる事例は授業で読んだテキストにもでてきました。

 

3.下線部 (2) の意味するところを20字前後で説明しなさい。(5点)

20世紀は独立をめざす闘いの世紀であった、ということです。

 

4.下線部 (3) の意味するところを50じ前後で説明しない。(5点)

この問題のもととなった記事は、試験前日に閉幕した沖縄サミットに関する論説です。沖縄サミットで日本が積極的に取り上げた議題の一つがITでした。サミットでは、こうした新しい情報技術が経済発展の新たな推進力となる可能性を持つと同時に、諸国間、あるいは一国内部で新たな格差(デジタル・デバイド)を引き起こす点についても議論されました。そして、先進諸国はその克服のために一致して取り組む必要があるとして、文中でも言及されている作業グループが設置されたわけです。しかし世界各国のサミットに対する反応はきわめて冷淡で、口あたりの良いことばだけで実質的な成果はほとんど得られなかったとの批判が目につきました。この論説もその一つです。

 

5.下線部 (3) を訳しなさい。(5点)

テキストの要旨はすでに問い4の解説で述べた通りですのであらためてくりかえしません。注意して欲しいのは、このテキストがITをテーマにしていることです。文中には、 "las nuevas tecnologias""nuevo desarrollo""la nueva economia""el nuevo crecimiento""nuevas oportunidades""esa nueva brecha"といった具合に「新しい」という単語がたくさん出てきますが、これはすべてIT革命が絡んでいます。これまで見られたような経済成長、これまで見られたような貧困や経済格差に加えて(の他に)、ITを推進力としたところの新たな経済成長、あらたな格差(デジタル・デバイド)ということです。これを読みとれずに、文字面だけで「新しい経済」「新しい技術」とした人がかなりいました。授業でも再三再四強調しているように、表層レベルの表現だけをそのまま日本語に置き換えるのではなく、文章の核心部分を掴み出す訓練が必要です。

 

得点結果分布一覧
問題T
得点
A組
B組
70-75
0
0
60-69
0
4
50-59
5
10
40-49
6
3
30-39
9
2
20-29
6
12
10-19
8
3
0-9
4
0
欠席者
0
2
合計
38
36

 

問題U

得点
A組
B組
20-25
3
3
10-19
20
15
0-9
15
16
欠席者
0
2
合計
38
36