シンポジウム
「21世紀のカリブ・ラテンアメリカ音楽」

[趣旨] 経済や政治のグローバリゼーションが圧倒的な速度で進行し、文化や社会の均質化を加速する一方で、地域や民族に根ざしたネイティヴな文化生産の営為が微細な差異をはらんで実践されているのが現代であるなら、「ポピュラー音楽」、なかでも「ラテン音楽」はその「現在性」を最も凝縮した形態で引き受ける文化である。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』に始まるキューバ音楽やサルサをめぐるブーム現象、米国製「ラテン音楽」の世界制覇、領域化/脱領域化にさらされる民族音楽の発展と消滅、またはグローバル化する音楽産業と文化市場の変容など、この音楽をめぐる状況は急激な変貌をとげつつある。本企画はこうした視点にたって、「ラテン音楽」の歴史と実践を語りつつ、この地域の複合的かつ多極的な文化/社会/民族を論じ、現在発生している諸問題─移民・移住、都市化、コミュニティの変容、先住民文化、再アフリカ化、他─と関係づけて提起するものである。
  東氏はラテン音楽を核としつつも、広汎な社会/政治の問題を視野に収めながら世界の先端的な音楽文化を研究、批評する評論家、石橋氏はカリブ研究専攻の文化人類学者として活躍する一方で、専門誌でも健筆をふるう音楽評論家でもあり、両氏とも本企画には最適の論者である。また、これは2001年度より開講される「ラテンアメリカ音楽文化論」の導入的な場ともなる企画である。

2001年5月28日(月曜)午後6時開始   226教室(入場自由)

[講師]東 琢磨 (音楽評論家・「アンボス・ムンドス」元編集長)
    石橋 純 (宇都宮大学助教授・本学非常勤講師)
〈司会〉杉浦 勉 (本学スペイン語教員)

[キーワード] グローバリゼーションとローカル化/多国籍音楽産業とインディペンデント/文化の境界性/身体性/popular文化の復権/「ラテン」化するアメリカ/再アフリカ化

主催 総合文化研究所



BACK