2010年度卒業論文・卒業研究の要旨

金子ちづる「大学生の大学への不適応に関する考察」

種別:卒業論文

木野峻平「スマトラ島パダンの社会と文化―ミナンカバウ族の生活に関する考察―」

種別:卒業論文

佐藤龍一 Komik『Laskar Pelangi』(ラスカル・プランギの漫画版)

種別:卒業研究

インドネシアでヒットした映画『Laskar Pelangi』を原作にした漫画を作成した。『Laskar Pelangi』(2008)は、インドネシアで製作された映画。2009年にBerlin International Film Festivalにて優秀賞を獲得。インドネシアの貧困な学校事情をモデルにした作品で、経営破たんになりそうな学校を舞台に、先生と生徒が葛藤し助け合っていく姿を描く。

構成・内容および原作との相違点 枚数は表紙を含め全26ページで、会話文(吹き出しの文)はインドネシア語と日本語訳をセットにしてある。 始めに断っておくと、本作品は原作に100%忠実ではない。大きな変更点は以下の通り:

1) 構成の都合上、漫画は原作の半分までしか描かれていない(本編のおよそ40%強程度)。続きは映画で見ていただければと思い、最後のコマに『To be continued』と書かれている。経済的理由で学校継続が困難に陥っても、皆で力を合わせて頑張ろうという原作のメッセージ自体は伝わるようになっている。

2) 本作中ではこの学校の校長は衰弱が原因で死ぬことになっているが、本作品はシリアステイストでまとめたくなかったので、明るさを重視して話の最後まで死なないことになっている。

3) ラストシーン(22ページ目以降)は完全オリジナル。本作には登場しない。Ikalが友人を殴り飛ばすシーンがあったが、日本で親しまれている少年漫画らしさを加えたかったため、あえて挿入。

4) その他、筆者の画力が追いつかず、表現し切れなかった部分についてはご了承頂きたい。

研究作品の目的 日本に留学してきたインドネシア人や、これから卒業論文や卒業研究を書こう、作ろうとしている学生に向けて読んでもらい、日本の漫画文化に親しんでもらうのが目的。インドネシアと日本の漫画文化の架け橋になってくれればという思いで作った。

総括 昔から日本では「漫画を読むと馬鹿になる」などとしてあまり高尚な文化として認められてこなかった漫画が、最近になって日本でもようやく認められつつある。外国のアニメ、コスプレブーム、漫画『ONE PIECE』の爆発的な人気とともに、老若男女問わず受け入れられてきているのは間違いない。個人的には漫画は日本の誇れる唯一の文化だと思う。日本でアイデンティティを守れているのは日本語くらいで、その日本語さえも危うい世の中、漫画は守るべき文化のひとつなのではないか。もしそうならば、大学に漫画を描き残していくことは非常に意味のあることだと思う。この作品を観て、もっとインドネシアを見てみたいとか、外国人留学生らが漫画に親しみ日本をもっと好きになってくれれば幸いである。

杉村 隆「インドネシアの航空事情」

種別:卒業論文

近年、「航空自由化」や「格安航空会社」といった言葉が、よく報道されるようになった。世界の航空輸送産業は、その変化のスピードを増しており、航空産業が保守的な日本でも、アメリカとの間で航空自由化をすすめたり、全日空が格安航空の子会社を設立したりするなど、大きな変化の時代を迎えつつある。

この論文は、インドネシアを題材として取り上げ、その航空産業の現状を明らかにするとともに、将来的な展望を考察することを目的としている。

本論は3章からなる。第1章では、格安航空会社がどのように生まれてきたか、第2次世界大戦以降の航空運賃の変化をふまえて検討したうえで、欧米での第一世代の格安航空会社のビジネスモデルを検討する。第2章では、おもに東南アジアでの航空産業の現状を探る。航空自由化と、東南アジアでのプロセスについて述べたあと、伝統的なフラッグ・キャリアと格安航空会社の戦略を検討する。第3章では、東南アジアの中のインドネシアを材料に取り扱う。航空規制緩和とその後の流れを記述し、インドネシアの代表的な航空会社についての情報を整理する。まとめとして、航空自由化が進展していく東南アジアにおいて、インドネシアの航空産業は今後どのような成長と改革が望まれるか、検討する。

竹村真季 Apakah kamu tahu kekuatan rokok?(『タバコの恐ろしさを知ってるかい?』)

種別:卒業研究

インドネシアの子ども達にタバコについて知ってもらうために、『Apakah kamu tahu kekuatan rokok?(タバコの恐ろしさを知っているかい?)』という絵本を作りました。現地に行った際、小学生から中学生くらいの子ども達が当たり前のようにタバコを吸っている姿を何度も見かけたことがきっかけで、このテーマを選びました。

ストーリーは、あまり押しつけがましくならないように、タバコを擬人化して主人公にし、人間を攻撃するという設定にしました。インドネシアではタバコ工場で働く親が多いので、タバコそのものの害より、未成年の喫煙がどれほどの害をもたらすか、ということに重点を置くようにしました。また、パソコンでイラストを描くとパンフレットのようになってしまうと思ったので、色塗りも含めて、手書きにこだわりました。また、登場人物に、バティックの洋服や、インドネシアで共通の制服などを着せることで、子ども達に親しみをもってもらえるように工夫しました。

完成した絵本をこれから現地の小学校へ持って行って、子ども達に読み聞かせをする予定です。たとえほんの少数だとしても、この絵本をきっかけに子ども達がタバコを吸うのを思いとどまってくれたら、と思います。

土屋香奈恵「カリムンジャワ島における観光開発の現状と展望」

種別:卒業論文

古塘早也佳「バリ島のブランド力についての考察」

種別:卒業論文

安富佐紀子「インドネシア語翻訳戯曲『アヒルと鴨のコインロッカー』」

種別:卒業研究

米田優美「現代インドネシアの便所事情」

種別:卒業論文

本稿の目的は、現代インドネシアの便所事情を明らかにすることである。

第一章では、地域をインドネシアに限定せず、便所と排泄に関する概要を取り上げた。まず、コレラや、世界で巻き起こっている疾病を例に取り上げ、便所と下水設備を整えることの重要性を述べた。次に、英語、日本語、インドネシア語を主な例として、排泄物、便所、排泄行為が言語表現上、どのように表現されているかを述べた。そこから、これらに関する言語表現がマイナス的価値観を持ったものであることを指摘した。ここまでで、便所の重要性が高いという事実に反し、人々の便所に対する意識の低さや、マイナスイメージを持っているという事実を指摘している。また、その次では、排泄時の体位と、排泄後の洗浄様式を述べた。体位は、「しゃがむ」と「腰かける」という2つの文化が存在する。それぞれの文化の原点が衣服や生活習慣に起因するのではないかということを考察した。さらに、洗浄様式は「乾式」と「湿式」とに別れており、これらが地理的要因、特に気候によって文化を分けたのではないかという意見を述べた。

第二章では、アンケート結果を基に、インドネシアの便所に対する実情を述べた。本稿の冒頭で述べられている疑問点を主なアンケートの質問項目とし、その結果を述べた。ここでは、便所の個室でインドネシア人がどのように用を足しているのか等、普段知り難い事実が判明した。

第三章では、インドネシア社会における便所の将来を考察した。ここでは、インドネシア人自身にもアンケートをとり、その結果と自分の考える結果を比較しながら、将来の展望を述べている。