国際日本学

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教員インタビュー

トム・メス Tom Mes

役職/
Position
大学院国際日本学研究院 元特別招へい講師
研究分野/
Field
日本映画

【English Page】

●ご自身の研究内容について簡単にお教えください。

主にレンタルビデオ・ショップ時代以降の、ビデオテープで残されたフィルムを保存する利点と方法について研究しています。それらの映画の多くは現在、オリジナル素材が失われているため、現存するものを慎重に保存しなければなりません。ビデオが映画文化のグローバルな支配的形態であった30年以上の間に、今日の世界的に著名な日本映画監督の多くがそうした作品を手がけています。そのため、芸術的な理由からと同時に物質文化の視座からも保存は重要なのです。

●東京外大では学生に対してどのような講義をされていますか。

私はTUFSでの任期中、3つの講義を担当しています。「Introduction to Anime Studies」 (日本アニメ研究への理論的アプローチ)、「Film & Society: Japan in the World, the World in Japan」(言説や国際関係を研究する際に映画を利用することへのアプローチ)、そして、私自身の研究テーマに関連した講義「Video, From Revolution to Rubbish」で、サイレント時代からファイル共有やストリーミングに至る、家庭での映画の消費と配給について検討するものです。

●国際日本専攻は、日本発信力の強化に力を入れる方針をだしています。このためには、何が必要と思われますか。

TUFSは日本全体を代表するものではありませんし、それは良いことだと思います。とはいえ、たしかに、ここに来たいと思っている留学生は、大学を選ぶ前にまず「日本留学」を考えます。TUFSは、みずからに特有の何かを提供することで、きわめて大きな影響をもたらすことができると思います。日本の高等教育が多種多様なプログラムを提供し、各大学が独自のアイデンティティを持っていれば、日本はおのずと利益を得ることになるでしょう。

●東京外大および学生に対してどのような印象をお持ちですか。

COVID-19のパンデミックのさなかにTUFSに来るということは、残念ながら私の学生たちに会えないということです。私が教える上で一番好きなのはクラスでの議論なので残念です。しかし、オンライン授業からでさえ、TUFSにはさまざまなバックグラウンドを持つ、知的で意欲的で創造的な学生がたくさんいることがはっきりとわかります。また、大学のスタッフや同僚は、私が安心してくつろいで過ごせるようにできる限りのことをしてくれました。世界中の誰にとっても印象深いこの時間に、このような経験をすることができたことにとても感謝しています。

●海外からみて、日本のいいところ、足りないところ

このパンデミックは、世界中の人々に(そして世界中の政府にも!)、最良のものと最悪のものを両方もたらしているでしょう。今こそ、とりわけ為政者たちは、私たちがいかに生活し、いかに生活を組織しているのかを徹底的に再検討すべき時であると思います。日本の人々は高度な臨機の才と回復力があり、若者たちは高いポテンシャルを秘めています。私は、権力の座にある人たちが早くこのことに気づくよう願っています。

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