国際日本学

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教員インタビュー

フィリップ・シートン Philip SEATON

役職/
Position
大学院国際日本学研究院 教授
研究分野/
Field
メディア、文化学、観光学

【English Page】

主な研究テーマは、日本政府及び国民が自国の歴史をどう認識しているかを通じて、現代の日本を理解することです。

私は日本人の戦争記憶と歴史認識というテーマで2004年に博士課程を終了しました。特にメディア(テレビ、新聞、雑誌、博物館など)がどのように戦争史を描いているかに焦点を当てました。一冊目の専門書「Japan's Contested War Memories」は博士論文に基づき、2007年に出版されました。2004年〜2018年、北海道に住んでいました。その頃、北方史と北の国境から見た日本史について興味を持つようになりました。二冊の本を編集し、日露国境地域での生活と歴史感(Svetlana Paichadze先生と一緒に共同編集)と北海道におけるローカルヒストリーと戦争記憶、に関するものでした。2010年以降には、観光の研究も始めました。地方史が貴重な観光資源になるというプロセス、テレビドラマなどが観光行動を誘導する仕組みに関して特に興味を持っています。2017年に、Contents Tourism in Japan(Takayoshi Yamamura, Akiko Sugawa-Shimada, Kyungjae Jangと共著)を出版しました。現在は、現代の日本において、幕末時代から終戦にかけての日本史がどのように描かれているのか、議論されているかについて幅広い興味を持っています。

 東京外大の授業は研究テーマに基づいています。授業をインターアクティブにして、長い講義を避けています。研究者としても、このアプローチはメリットがあります。学生たちはこれから自分が何を研究すべきかについて良いヒントを与えてくれるからです。歴史認識に関する授業は、ディベート型の授業で、特定の歴史認識を巡る賛否両論を話し合います。観光学の授業では、旅行者、企業、自治体、政府の立場から見て、観光をめぐる問題に関して話し合います。全ての授業は共通のキーポイントに基づいています。議論のトピックスに関わらず、どういう異なった立場があるのか、誰がその立場に立っているのか、なぜ人々は同じ事柄についてこれほど異なった意見を持つのか、そしてこれらの観点が日常的な行動にどのような影響を与えるのか、に関して考えることです。

 2018年4月に新学部準備のため、東京外大に着任しました。この新学部は国際日本学部として、2019年4月に新設されます。エリアスタディーズ(地域研究)を楽しんでいる理由は、研究テームを選ぶ柔軟性があるからです。「歴史」や「観光学」や「メディア学」のみではなく、複数の分野の間にある繋がりを研究できます。その上、多言語の環境で教育・研究が行えます。これはエリアスタディーズ(私は、「多言語のリベラルアーツ」とも呼んでいます)の魅力です。さらに、日本の研究だけに限られているわけではありません。比較文化の授業も可能ですし、ある特定の問題を理解するために、複数の言語で書かれたテキストも使えます。外語大生は皆、外国語や海外文化に関して非常に興味を持っています。授業中のディスカッションは大変刺激的です。皆は海外での経験や海外に対する興味が豊富で、その豊かな経験を教室に持ち込むからです。

 日本で生活・仕事をするのは、20年以上になりました。日本での生活を楽しんでいます。本当にマイホームになりました。同時に、英国で何が起きているかについて、いつも最新情報に耳を傾けています。研究者として、毎日日本のことについて読んだり書いたり考えたりしていますが、それによって生まれ育った国に対する理解が深まる場合も多いです。

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