国際日本学

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教員インタビュー

朝日 祥之 ASAHI Yoshiyuki

役職/
Position
大学院国際日本学研究院 准教授(NINJAL)
研究分野/
Field
社会言語学

Q1. ご自身の研究内容について簡単にお教えください。

A1. 私は、日本語のバリエーションについて研究を進めています。このバリエーションを現在進行している言語変化の表れ、または私たちの言語生活で行われるさまざまな言語活動の表れとして捉え、国内外にある日本語コミュニティで調査を進めています。具体的には、日本語にあるさまざまな方言が人の移動によって接触することになった場合に生じる変化の過程、また移民または植民として海外に住むようになった地域での日本語方言の形成・変容について研究しています。これまで西神ニュータウン、サハリン、北海道、南大東島、サイパン、ハワイ、アメリカ本土で調査をしてきました。普段勤務している国立国語研究所では、全国各自治体における外来語使用意識、国語力観調査、敬語と敬語意識の経年変化について調査をしてきました。現在は、ハワイと北米の日系社会で形成された資料の中でも録音・映像資料の保存、研究利用、移民教育のプログラムの企画などを人間文化研究機構の研究事業として進めています。

Q2. 東京外国語大学では学生に対してどのような講義をされていますか。

A2. 東京外国語大学には週1日勤務しています。講義では、社会言語学の諸問題(属性論、待遇表現、言語意識、外来語、コード切り替え、言語シフトなど)を取り上げています。日本語を中心とした諸現象の説明をしながら、受講生達と議論を行います。また社会言語学に関する課題をレポートとして作成してもらっています。このレポートのテーマは、受講生の研究テーマと有機的に関係づけられるようにしています。受講生が留学生の場合は第一言語を、また研究対象が日本語以外の言語であれば、研究対象言語をレポートの課題で対象とするようにもしています。特に留学生の場合、日本語の諸現象を研究する上でも自身の第一言語におけるバリエーションを捉えるのに必要な知識を身につけてほしいと考えています。

Q3. 国際日本専攻は、日本発信力の強化に力を入れる方針をだしています。このためには、何が必要と思われますか。

A3. まず必要なのは、日本の存在を世界の日本研究者に向けて発信することです。世界中には日本研究・日本語研究・日本語教育研究に従事する研究者、学生がたくさんいます。また、東アジア研究の一つとして日本を取り上げる研究も同様です。日本国内にとどまるのではなく、世界中にいる日本研究者と連携し、研究成果を発信することから始めるべきです。 次に必要なのは、それぞれの分野における研究動向を世界規模で把握することです。日本・日本語・日本語教育を対象とする研究者が取り組む問題は、他言語を対象とした場合の問題とどのように関連づけるべきなのか。それぞれが提唱する研究概念をめぐる地域性・社会性をどのように扱うのかを、国際会議等で積極的に議論すべきだと考えます。 もう一つ必要なのは、日本から発信を行う基盤整備です。英語で論文を発表することは大切なことですが、これが欧米の出版社から発信している限り、厳密な意味で日本の発信力強化にはなりません。国際市場でのシェアを獲得できる体制を、関連業界と協力しながら形成すべきです。

Q4. 東京外大および学生に対してどのような印象をお持ちですか。

A4. 講義にも学問にも熱心に取り組む学生が多い印象を受けます。語学に関心を持つ学生が集まっているので、特に言語系の科目を担当する者からすると講義がしやすい印象を持ちます。東京外大は世界の地域研究、言語研究を推進する拠点としての役割を持つところだという印象を持っています。私自身、学生時代に外国語大学に通っていたからなのか、東京外国語大学はどこかで親近感の持てるところです。

Q5. 海外からみて、日本のいいところ、足りないところ

A5. 国際会議やフィールドワークで海外に出かけるときに感じるのは、日本はやはり安全で清潔だということです。相手のことを考え、自分の置かれている状況を把握する能力に長けているのもいいところだと思います。また日本は「美しい国」だと言われることも少なくありません。その一方、日本に足りないところは、自分自身の考えや主張を積極的に発信できないところでしょう。日本人は、授業中に質問があるかどうかを聞くと、積極的に発言する人が少ないと言われます。これは別の視点からすると、日本人は他人の意見を聞くことが非常に上手いとも言えますが、結局は自分が何を考え、感じているのかは、自分が言葉にできないと始まりません。自分の考えを主張すること、考えを言葉にできるように努めることも必要です。

※国立国語研究所(NINJAL)とのクロスアポイントメント

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