国際日本学

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教員インタビュー

ベルナール・トマン Bernard Thomann

役職/
Position
大学院国際日本学研究院 元特別招へい教授
研究分野/
Field
日本労働史

【English Page】

Q1. ご自身の研究内容について簡単にお教えください。

A1. 私は現在、東京外国語大学特別招へい教授として、いずれも日本労働史にかかわる、3つの研究プログラムを実施しています。一つ目は、石炭産業における労働史です。例えば、TUFS滞在中、九州や北海道の旧炭田で働き、退職した炭鉱夫にインタビューを行い、当時の労働条件や、彼らがたどった人生について理解しようと努めています。二つ目、そして三つ目の研究プログラムとして、日本の最低賃金の歴史、および日本と国際労働機関(ILO)との関係を研究するために、東京と大阪を中心とする公文書の調査に取り組んでいます。

Q2. 東京外国語大学では学生に対してどのような講義をされていますか。

A2. 1945年以前の日本の社会政策の歴史について教えています。私にとっては、過去10年間におこなった研究をTUFSの学生に紹介する良い機会です。私が実証しようとしているのは、アメリカによる占領以前に、いかに日本福祉国家の構造の大部分が築かれたのかということです。その時系列を説明するために、私はトランスナショナルな力学を大いに重視しています。

Q3. 国際日本専攻は、日本発信力の強化に力を入れる方針をだしています。このためには、何が必要と思われますか。

A3. 日本人は、自国の文化や歴史がもつ普遍的な次元をもっと信じなければならないと思います。日本人は外の世界に対して、普段みずからが考えている以上に発言すべきことを多く持っており、世界的な動向に通じようとして西洋化(またはアメリカ化)する必要はありません。そして、これは21世紀の日本にとって真の意味での挑戦です。なぜなら、中国のほうが自国の価値観や関心に応じて近代性を変容させる能力にいっそう自信があるように見えるからです。しかし、日本文化がフランスの若者の間で人気があることを見ている私にとって、日本の文化の普遍的な次元は明らかです。

Q4. 東京外大および学生に対してどのような印象をお持ちですか。

A4. TUFSには非常に多くの外国人留学生がいることに驚きました。パリのINALCO の元教え子の何人かも現在ここで研究を続けていることを知りました。したがって、私の講義を受けている学生は、様々な国の出身者です。

Q5. 海外からみて、日本のいいところ、足りないところ

A5. 私の答えは、あまり独創的ではないでしょう。すべて物事が非常に効率的で安全で清潔であり、人々もとても礼儀正しい。必ずしも常にそうではないフランスという国から来てみれば、こうしたことはとてもありがたいことです。しかし、電車内の人々はスマートフォンを見るのをやめ、あらためてお互いに話しを始めるべきです。また、古い家や古い地区が消えていくのを見るにつけ、少し悲しい気持ちになります。私は真新しいショッピングモールより古い商店街のほうがずっと好きです。たとえば、最近では、下北沢地区が多くの魅力を失いました。

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