国際日本学

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教員インタビュー

鈴木 智美 SUZUKI Tomomi

役職/
Position
大学院国際日本学研究院 教授
研究分野/
Field
現代日本語意味論、日本語教育

【English Page】

勉強・研究に集中できる大学院時代に広く深く、真剣に学んでほしい

 大学院国際日本専攻は、日本語学、日本語教育学、日本語文学・文化、日本社会という4つの教育研究領域から構成されていて、広く柔軟に自らの学びを組み立てていくことのできる専攻になっています。ですが、学生の皆さんには、決して"広く浅く"ではなく、ぜひ「広く深く、真剣に」学んでほしいと思っています。大学院というのは、勉強・研究に集中できる人生の中で恵まれた貴重な時間です。将来研究者になるか、日本語教師になるか、あるいはもっと別の働き方で社会に貢献するか、まだわからないかもしれませんが、勉強や研究をあまり"効率的"に考えず、どんなことも、機会を存分に生かして学んでほしい。それは、その人を形づくる力になると思います。

 私自身は、長く日本語教育の現場で日本語を教えてきました。毎日の中で「日本」が世界とつながり、お互いに開かれている現場です。その軸足はこれからも変わりません。一方で、私は言葉の意味に尽きない興味を抱いて、日本語の構文・語彙の意味分析を行っています。例えば、最近、意見や感想を述べる時に「うれしいかなと思います」「~したいかなと思います」のように、自分の感情や希望にさえ「かな?」と疑問を表明する形式を用いるおもしろい構文が使われるようになっています。周囲との無用な軋轢を避けようとする一種の防御のメカニズムが働いているのかもしれません。日本語以外の言語社会と比較するとどうなのかも興味深いです。意味論の分野では、このように、ある言葉の意味とそれが果たす機能を分析・記述し、その背後にある私たち言葉を使う者の意識をとらえようとします。大学院では、このような言葉の意味のおもしろさをぜひ共有して考えていきたいと思っています。日本語教育の現場において、意味論的な観点からどんな貢献ができるかも考えていきましょう。

 大学院での学びの期間を通じては、信頼のできる友人・仲間が得られるということも大きな収穫になると思います。学びの扉をあけて、あなたの足で世界に踏み出してください。

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