国際日本学

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教員インタビュー

宮城 徹 MIYAGI Toru

役職/
Position
大学院国際日本学研究院 元教授
研究分野/
Field
異文化間教育学、心理学

【English Page】

多様性を理解し、自分の方法論に自信を持った

 私の専門である異文化コミュニケーションでは、文化的背景が異なる他者の意見に耳を傾け、多様性を身につけることに重点を置いています。国際日本専攻では必修科目を担当しますが、21世紀の教育や研究のパラダイムを踏まえて次の3点に留意したいと思っています。
 第一に、「日本」を自明の前提ととらえるのではなく、日本語学習者や海外の日本研究者の視点を学びながら考えること。海外では、日本で主流である日本語で日本語を教える「直接法」よりも母語を使った教育法が時には効率的とされていますし、日本で主流の研究とは切り口が異なる研究を行う専門家も大勢います。このように、日本にいては気づきにくい教育や研究のアプローチを理解した上で、アプローチをどうとるかを考えるきっかけになればと思っています。また、インターネットで基礎的な語学学習やコミュニケーションが行える今、教師としてそれをどう活用するのかも考えていかなければなりません。
 第二に、知識伝達が中心だった従来の学習スタイルを見直して、もっと柔軟な発想にシフトしていくこと。話し合いや議論など、学生たちが情報の発信、受信を活発に行う中で、自分なりのものの見方を形づくれるようにしたいと考えています。
 第三に、知識の習得から一歩進んで、学生が説得力のある的確な解釈を行えるように学びを促すこと。災害情報を例に挙げると、情報はただ正確にスピーディーに与えられれば役に立つわけではありません。その情報を個人個人が理解・判断し、協働して避難や予防など次の行動にどう活かせるかがより重要なのです。そのためには、一人一人が的確なアクションを起こせるような情報収集・分析能力を身につけてほしいと思っています。
 本学には、世界各国から多様な専門の学生が集まってきます。その環境を活かして、学際的な広い視野と多様性への理解を持つ"Generalist"であると同時に、自分はこの分野でこの方法論で研究を続けると胸を張れる"Specialist"を、つまり"Special generalist"を養成したいというのが私の思いであり、そのためにも各自が手に馴染む「刀(ツール)」を身につけられるようにサポートしたいと考えています。

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