第5回 11月4日(火)
「ロシア語と日本語の出会い」

   講師:匹田 剛 東京外国語大学 准教授

 ロシアはしばしば我々日本人にとって「遠くて近い国」と呼ばれます。確かに、日本にとって地理的に最も近い外国はロシアで、その国境付近には様々な接触の歴史がある一方で、ロシアはそもそもヨーロッパの民族で、ロシア語はヨーロッパの言語です。外交上の関係を抜きに考えても、ロシアは東北アジアに暮らす日本とは遙かに遠く離れたところにいる民族のはずです。その遠く隔たれた二つの民族、二つの言語はどのようにして出会ったのでしょうか。日露の接触は日本が鎖国中の17世紀の末頃に徐々に始まり、当初の接触は正規のルートによるものではなく、日本人の漂流民とロシア人の探検家によるものでした。今回は、漂流民の冒険という「イレギュラー」な形で始まった日露の初期の接触史と、そのわずかな接触から少しでも多くを学び取ろうとする先人達が手探りではじめたロシア語とロシアに関する研究の我が国における夜明けについてお話しいたします。
 

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