第6回 11月12日(火)
「ベンガル語:文語体から口語体へ」

   講師:丹羽 京子 東京外国語大学 講師

 ベンガル語は、1000年ほどの歴史を持っていますが、公用語として用いられるようになったのは比較的最近で、それ以前はもっぱら文学によって牽引されてきたと言ってもよいでしょう。そのベンガル文学では、1910年代に文語体から口語体へとことばの上での大きな変換が起こり、その際、若い世代がもっぱら口語体で作品を書くようになったのみならず、ノーベル賞詩人タゴールのように文語体でそのキャリアをスタートさせた世代も、積極的に自らの用語を口語体へと切り替えていったのです。

 タゴールが初めて完全口語で書いた小説、『家と世界』は当時の読者に大きな衝撃を与えましたが、それは口語というスタイルによってもたらされた部分も少なくありません。また、韻律を大切にする詩の世界では、口語で書くにあたって乗り越えなければならないさまざまな問題もありました。

 本講座では、そのような文学の世界でのことばの変化、それによってもたらされたもの、失われたもの、試行錯誤などの文学史上の一コマをご紹介したいと思っています。
 

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