図解 アラビア語文法
【子音衝突の回避と補助母音】
子音の衝突とは?
アラビア語文法では、2つ以上の子音が連続することを「子音の衝突」もしくは「子音の連続」(التقاء
الساكنين)」と呼びます。一部の例外を除き、このような子音の衝突は避けなければならないことになっています。
この問題を解決するのが、2つある子音のうちひとつの省略、そして補助母音の付加です。補助母音の付加という方法では、本来文字にはついていない母音を付加することで、子音が連続することを防ぎます。
まずは例外をチェック
子音衝突の回避は、以下の例を除いた場合に行われます。
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ワクフ
最後から2番目の文字が子音、最後の文字が母音である語末をワクフ(≒母音を子音で止めて読む方法)で読んだ場合、子音の連続が許されます。

家 [ baytun →
bayt ]
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「長母音+シャッダ」
「長母音+シャッダのついた文字」の組み合わせになっている場合、子音の連続が許されます。アラビア語では長母音を示す弱文字にはスクーンをつけるものと理解するため、長母音の子音とシャッダ部分の子音が連続することになります。

鋭い [
ḥāddun
]
子音衝突回避の方法
子音衝突の回避は、次のような方法で行われます。
【無母音字の省略】
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表記と発音の両方で省略
「子音+子音」となった場合、1番目の子音が長母音を示すための弱文字であれば、それを表記の上においても、発音の上においても省略します。

あなたたちは望む [ tarjūna
]
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発音のみ省略
「子音+子音」となるものの、1番目の子音である長母音を示すための弱文字が前の単語末、2番目の子音が次の単語始めに来る場合は、表記はそのままに、発音上のみ省略されます。

その家の2つの戸 [ bāba-l-bayti
← bābā-l-bayti
]
【カスラの付加】
この方法は、通常のアラビア語文法書でも紹介されているポピュラーなものです。
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「通常の子音+子音」
1番目の子音が通常の子音である(=長母音を示す弱文字では無い)場合、子音衝突はこの1番目の子音にカスラ(母音「i」)をつけることで行われます。

そのジュースを飲みなさい [ ’ishrabi-l-‘aṣīra
]
二人称・男性・単数に対する命令
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二重母音「ay」+子音
1番目の子音の前に来る母音が「a」(ファトハ)で、1番目の子音自体が「ヤー」(ي)の場合、子音衝突はこの子音「ヤー」(ي)にカスラをつけることで行われます。
これは言い換えれば、2番目の子音の直前が「ay」という(いわゆる)二重母音になった場合、「y」に最も近しい母音である母音「i」を付加するということになります。

叱責を恐れてはならない [ lā takhshayi-l-lawma
]
二人称・女性・単数に対する禁止
【ファトハの付加】
また、子音衝突の回避を、ファトハ(母音「a」)で行う場合もあります。
【ダンマの付加】
また、子音衝突の回避を、ダンマ(母音「u」)で行う場合も多く見られます。
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二重母音「aw」+子音
1番目の子音の前に来る母音が「a」(ファトハ)で、1番目の子音自体が「ワーウ」(و)の場合、子音衝突はこの子音「ワーウ」(و)にダンマをつけることで行われます。
これは言い換えれば、2番目の子音の直前が「aw」という(いわゆる)二重母音になった場合、「w」に最も近しい母音である母音「u」を付加するということになります。

彼らは叱責を恐れた [ khashawu-l-lawma
]
二人称・女性・単数に対する禁止
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複数を示す「م」(m)で終わる人称代名詞+子音
複数を示す「م」(m)で終わる人称代名詞
[ 例 : أنتم / هم / ـكم
] の後に子音が続く場合、通常この「م」(m)にはダンマ(母音「u」)が付加されます。

あなたがたの上にも平安あれ [ wa
‘alaykumu-s-salāmu
]

彼らがその先生たちです [ humu-l-mu‘allimūna
]
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その他の単語

昨日以来 [ mudhu-l-’amsi
]
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