図解 アラビア語文法
【アラビア語の格の様々な表し方】
母音で表されない格
アラビア語では、「名詞の語末に付加する母音によって格を判別する」というのが基本ルールです。しかし、名詞によっては、語末の母音で格を示さないことがあります。
五名詞
アラビア語には、「五名詞」(الأسماء الخمسة)と呼ばれる名詞があります。「أب」(’ab;父)、「أخ」(’akh;兄/弟)、「حم」(ḥam;舅)、「فو」(fū;口)、「ذو」(dhū
;所有者)がこの五名詞に相当しますが、これらは一定の状況下において、語末に来る文字が格を示します。
主格の場合はワーウ(و)、属格(所有格)の場合はヤー(ي)、対格(目的格)の場合はアリフ(ا)が追加されます。そして、それぞれの文字の前は、適合する母音「u」(ダンマ;ワーウに適合)、「i」(カスラ;ヤーに適合)、「a」(ファトハ;アリフに適合)となります。
【対格(目的格)】
アリフ |
【属格(所有格)】
ヤー |
【主格】
ワーウ |
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(〜の)父を
’abā |

(〜の)父の
’abī |

(〜の)父は
’abū |
أَبٌ |

(〜の)兄を
’akhā |

(〜の)兄の
’akhī |

(〜の)兄は
’akhū |
أَخٌ |

(〜の)舅を
ḥamā |

(〜の)舅の
ḥamī |

(〜の)舅は
ḥamū |
حَمٌ |

(〜の)口を
fā |

(〜の)口の
fī |

(〜の)口は
fū |
فُو |

(〜の)所有者を
dhā |

(〜の)所有者の
dhī |

(〜の)所有者は
dhū |
ذُو |
これらの語が文字による格変化をするのは、以下のような場合です。
- 属格(所有格)支配をされる

ムハンマドの父は [
’abū
muḥammadin ]
ただし、支配する名詞語末の母音を常に「i」に保つことで知られる、一人称単数の人称代名詞接続形の場合は除きます。

私の父は/の/を [
’abī
]
- 単数形である
双数形や複数形になった場合は、通常通り語末の母音によって格が表されます。

彼らの父親たちは [
’ābā’uhum
]
- 縮小形ではない
名詞が縮小形(「小さな〜」という意味を示す特定の語形)になった場合は、通常通り語末の母音によって格が表されます。
双数形名詞
双数形名詞も、文字がその格を示します。格に対応した文字は以下の通りとなっています。
【対格(目的格)】
ヤー |
【属格(所有格)】
ヤー |
【主格】
アリフ |

2冊の本を
kitābayni |

2冊の本の
kitābayni |

2冊の本は
kitābāni |
注:語末に来る「ヌーン(ن)」は格を表す文字ではありません。これは単数形名詞のタンウィーンに相当するものです。
注:双数形名詞では、格を示す文字の前がいずれも母音「a」(ファトハ)となります。
男性規則複数形名詞
男性規則複数形名詞も、文字がその格を示します。格に対応した文字は以下の通りとなっています。
【対格(目的格)】
長母音のヤー |
【属格(所有格)】
長母音のヤー |
【主格】
長母音のワーウ |

教師たちを
mudarrisīna |

教師たちの
mudarrisīna |

教師たちは
mudarrisūna |
注:語末に来る「ヌーン(ن)」は格を表す文字ではありません。これは単数形名詞のタンウィーンに相当するものです。
注:長母音のワーウ(و)の前には適合する母音「u」(ダンマ)が、長母音のヤー「ي」の前には適合する母音「i」(カスラ)がつきます。
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