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図解 アラビア語文法

【格に関係なく語末の母音が変化しない語】


格と母音との区別を

別のページにおいて、「アラビア語では文中の位置や機能に応じて決まる格が語末の母音で示される」、「語によっては語末母音ではなく文字によって格が示される」ということを紹介しました。

ここで再度確認したいのが、「語末の母音がa(ファトハ)であっても、語が対格であるとは限らない」という点です。三段変化と二段変化についてのページを読んでいただければわかることですが、「この語の格は何ですか?」と聞かれた場合、語末にファトハがついていても、その語がどのような性質を持っているかを考えてから「これは属格(所有格)です。」、「これは対格(目的格です)」と答える必要があります。


格に関係なく語末の母音が一定であり続ける語も

さらに、アラビア語には「文中のどのような位置に来ても、どのような格になっても、常に語末の母音が一定である」「実際には対格であるのに語末の母音がu(ダンマ)であるetc.」ような語が複数存在します。

(注:このように格にかかわらず語形を一定に保つことを「ビナー(بناء)」と呼びます。このビナーにより語形が常に一定である語は、「マブニー(مبنيّ)」と呼ばれます。 )

例えば常に語末がダンマ(母音「u」)であるような語があったとします。その場合、語末にダンマ(母音「u」)がついていたからといって、「これは主格です」とすぐに判断することは出来ません。

このような場合、語の位置や働きを見て実際の格を知る作業が必要になります。下に挙げるのは、そうした名詞の一例です。

  • 数詞11、13〜19〜常に語末はファトハで固定

    【主格】

    14人の男性たちが来ました

    14人の男性たちが来ました


    【属格(所有格)】

    14人の男性たちからなる集団

    14人の男性たちからなる集団


    【対格(目的格)】

    14人の男性たちを私は見ました

    14人の男性たちを私は見ました

     
  • 呼びかけ(呼格)

    呼びかけの表現では「يا」(
    )の後に単独の意味上限定された名詞が来る場合、その名詞の語末は母音「u」(ダンマ)になります。

    おおムハンマドよ

    おおムハンマドよ

    しかし、語末に母音「u」(ダンマ)がついているにもかかわらず、名詞の格は対格となります。というのも、この名詞は呼びかけを表す動詞「أنادي」(
    ’unādī;私は呼ぶ)の目的語であるものの、表現上動詞が省略されているのだと説明されるからです。

     
  • 時や場所を示す一部名詞の副詞的表現

    以前に

    以前に

    これは時を表す名詞の副詞的対格用法の一つですが、後ろの名詞によってイダーファ支配(属格/所有格支配)を受けない場合は、語末がダンマ(母音「u」)となります。

    以前に

    以前に

    この用法では、前置詞「من」の後に来て前置詞の被支配語としての属格(所有格)になっても、語末がダンマ(母音「u」)となります。


 

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