図解 アラビア語文法
【「فَقَطْ」の成り立ちと意味】
語の成り立ち
この「فقط」は、未完了動詞の意味をもつ名詞「قَطْ」(注:語末は常にスクーンで固定。これはシャッダのついた「قطّ」を「軽くしたもの」つまり、「シャッダを取ったもの」として説明されています)に、「فَ」がついて出来た語です。
「فَ」は、単語の意味に関係のない余剰な文字で。「قَطْ」は「十分である(=يكفي)」という意味を持つ未完了動詞の意味を持つ名詞です。
「فقط」は「فحسب」と同じ意味と用法です。回数を示す名詞などの後に置いて、「〜だけ、〜しか」という意味を添えます。
「قط」の用法
「فقط」を形成する語「قط」の用法は以下の通りです。
-
動詞「十分である(يكفي)」の意味
قَطْنِي
دِينَارٌ = يَكْفِينِي دِينَارٌ
私には1ディーナールで十分だ。
「ي」は1人称単数を示す、対格の人称代名詞接続形。「ي」の前に来るのは、「نون
الوقاية」と呼ばれ、前に来る動詞などの語末母音が「i」になることを防ぐために付加されます。
「ي」は未完了形動詞の意味を持つ名詞「قط」の目的語。そして文の主語(فاعل)は「دينار」(ディーナール)ということになります。
-
名詞「حَسْبُ」(=「الكفاية」十分)と同じ意味
قَطْ
خَالِدٍ دِينَارٌ = حَسْبُ خَالِدٍ دِينَارٌ
ハーリドには1ディーナールで十分だ。
この用法では、必ず後の語による属格支配を受けなければなりません。上の文では「قط」が主語(مبتدأ)で、単語「خالد」による属格支配を受けています。よって、単語「دينار」(ディーナール)は、述語(خبر)ということになります。
|