読まれないのに書かれるアリフ
アラビア語には、実際には発音されないにもかかわらず、表記上は書かれるアリフがあります。
【注意】
アラビア語では、「アリフ(ا)」が語根になることはありません。語根の部分が「アリフ(ا)」となっている場合、その「アリフ(ا)」は「و(ワーウ)」か「ي(ヤー)」のいずれかが転じたものです。また、語根の文字では無い場合、「アリフ(ا)」は語根以外に加えられた余剰文字となります。
複数を示す動詞の語末
複数を示す動詞の完了形や未完了形接続法、要求法では、発音されない「アリフ(ا)」が書き足されます。ただし、これらの動詞に人称代名詞が接続した場合、「アリフ(ا)」は消えます。
كَتَبُوا
- يَكْتُبُونَ - يَكْتُبُوا
彼らは書いた【完了形動詞】 - 彼らは書く【未完了形動詞;直説法】 - 彼らは書く【未完了形動詞;接続法、要求法】
كَتَبتُمْ
- تَكْتُبُونَ - تَكْتُبُوا
あなた達は書いた【完了形動詞】 - あなた達は書く【未完了形動詞;直説法】 -
あなた達は書く【未完了形動詞;接続法、要求法】
【「アリフ(ا)」が消える場合】
كَتَبُوهُ
彼らはそれを書いた
「مائة」(ミア;百)
「مائة(ミア;100)」という単語に発音とは関係の無い「アリフ(ا)」が書き足されるのは、アラビア文字に弁別点が一切無かった時代に(注:詳細については別のページを参照)、表記上は同じ形をしている別の単語(「منه(ミンフ;彼/それから)
」など)と区別していたことに由来すると言われています。
単独で書かれる場合、双数形として用いる場合、もしくは3、4、5、6、7、8、9と組み合わせて300、400、500、600、700、800、900という語を形成する場合、この「アリフ(ا)」つき表記が使われます。しかし、複数形になった場合や、ニスバ形容詞になっている場合には、「アリフ(ا)」無しの表記が用いられます。
【「アリフ(ا)」つき】
مِائَة
/ مِائَتَانِ / ثَلاَثُمِائَةٍ ، أَرْبَعُمِائَة
右から:100、200、300、400
【「アリフ(ا)」なし】
مِئَاتٌ
/ مِئُونَ -
مِئِينَ / مِئَوِيّ
右から:100【複数形】、100【複数形;主格】 - 100【複数形;属格、対格】、100の【ニスバ形容詞】
特殊な例
【アラブ詩における「アリフ(ا)」の追加】
アラブ詩では、詩行の最後に通常は加えない「アリフ(ا)」が加えられることがあります。
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