マレー語は、英語と同じく、前置詞を持つ言語です。最も基本的な前置詞は次の3つで、普通、後に場所を表す名詞句が続きます。
di 「~で、に」(英:at) ke 「~へ、に」(英:to) dari 「~から」(英:from)
di
Tokyo「東京で」
ke
bandar「街へ」
dari
rumah「家から」
後に人を表す名詞句が続く場合や、抽象的な位置・移動関係を表す場合には、普通、以下の pada を含む前置詞を用います。
pada 「~で、に」(英:at)最もよく用いられるのは、時間を表す語句とともにです。 kepada 「~へ、に」(英:to) daripada 「~から」(英:from)
pada
pukul 9.30
pagi「午前9時30分に」
kepada
pelajar「学生へ」
daripada
kawan「友達から」
口語では、上の前置詞の他、kat という前置詞が多用されます。この前置詞の意味は非常に広範に渡り、di、ke、pada、kepada で表される意味の大部分をカバーします。
kat
Tokyo「東京で」
kat
bandar「街へ」
kat
pelajar「学生へ」
前置詞は疑問詞とともに用いることもできます。
di/ke/dari
mana「どこで/へ/から」
pada
pukul
berapa「何時に」
kepada/daripada
siapa「誰へ/から」
英語では前置詞句を直接、文の述語として用いることができず、I am from Japan のように be動詞(ここでは am)を用いなければなりません。しかし、マレー語では be動詞のようなものは不要で、前置詞句を直接、文の述語として用いることができます。名詞文の場合と同様に、主語と述語の間に adalah を入れることも可能ですが、普通は用いません。
主語 (A) (adalah) 前置詞句 (B).「AはBです。」
Pejabat
Dr.
Nur Fathima
di mana? —
Pejabat
beliau
di
tingkat 6
bangunan
Fakulti
Kejuruteraan.
「ヌル・ファティマ先生のオフィスはどこですか? —
先生のオフィスは工学部の建物の6階です。」
Kereta api
ini
ke mana? —
Ke
Seremban.
「この電車はどこ行きですか? — スルンバン行きです。」
Awak
dari
mana? — Saya
dari
Jepun.
「あなたはどこから来たのですか? — 日本からです。」
Kelas
Psikologi
bermula
pada
pukul
berapa? —
Kelas
itu
bermula
pada
pukul 3
petang.
「心理学の授業は何時に始まりますか? — 午後3時に始まります。」
Coklat
ini
daripada
siapa? —
Coklat
ini
buah tangan
daripada
Eusoff.
「このチョコレートは誰からですか? —
このチョコレートはユソフからのおみやげです。」
前置詞 ke は、「~へ行く」という移動自体を表すのにも用いられます。これは動詞 pergi「行く」を使った文と同じ意味になります。
Awak nak ke mana?「君、どこ行くの?」(nak は「~するつもり」という意味の助動詞)
前置文の否定文は普通、名詞文同様、bukan を用います。
Saya
bukan
dari
China.
Saya
dari
Taiwan.
「私は中国出身ではありません。台湾の出身です。」
Bas
ini
bas
ke
Kajang
ke? —
Bukan, bas
ini
bukan
ke
Kajang.
「このバスはカジャン行きのバスですか? —
いいえ、このバスはカジャン行きではありません。」