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ことば2題

1. Devil's Advocate

家人が、割とdevil's advocateで、
僕が思い込んでいることを、
「そういう解釈だけじゃないんでね?」
と気づかせてくれることも多いので、
ありがたいときは多いのだけれども。

それが的外れなこともあるなあとか。(笑)

2020.12.31の我がツイートから。

洗濯機でクズをとるやつを、多くの人が共通で呼ぶ呼び方が無いなと思って、それは、以前名前が無かった「プチプチ」みたいだなと思ったら、家人が「一つの名前に決まっているものなんてそうそう無いでしょう?」と。あー、取り敢えず反論してみるdevil's advocateなのねー、みたいなw

いやー、誰に聞いても、少なくとも関東(東京)共通語圏の
話者なら、ほとんど1つの答えで帰ってくるものあるでしょう。

「鍋」とか。

でも、それがそもそも記号内容(シニフィエ)に対応する
記号表現(シニフィアン)命名が定まっていないものがあって、
1980年代に我が指導教官世田谷のE先生は、
「クッキーの缶のクッキーの上にある、気泡がたくさん入っている
プラスチックのシート」は、もちろん業界では名前があるだろうけど、
我々一般人には、共通した名前が無いと指摘していました。

今では、それはプチプチと呼ばれたりすることがありますが、
でも、我が90代の父に「プチプチ」って言っても
通じないと思います。

そういう意味では、洗濯機の中で、「クズを取るやつ」は、
もちろん業界では専用の名称があるだろうけど、
我々消費者の間では、共通した名前で呼ばれていないんでは
ないかと思ったわけです。

名前が無いもの、名前が1つに決まらないものの方が
例外的でしょう。

ということで、それにdevil's advocateしちゃった家人は、
ちょっと勇足だったかな、と。

閑話休題。

もう1つ、家人のdevil's advocateを。

2021.1.30のツイートから

アイナ・ジ・エンド - 金木犀(歌詞)https://uta-net.com/song/295882/ ♪まぐわいの後の一刻に♪の「まぐわい」を聞いてワーワー言ってたら、家人が、「のぶさんが思ってる意味じゃないかも知れないよ!」と。いやー、そこはそう意味が拡張したりしにくいものでしょう。なんでもdevil's advocateしないで!w

「まぐわい」ね。まあ、何らかの比喩的なテクニックで
意味を拡張したり、ずらしたりすることができないと、
完全に否定することはできないけれど、

この作詞者は、わざと、「セックス」とど直球に言う代わりに、
ちょっと古語めいた「まぐわい」とずらすことで、
「セックス」に伴う連想などを逆に減じたのでは無いかなと。

ネットだとそれは、「セックル」と言ってみたり、「セクロス」と
言ってみたり、「セッセセ」と言ってみたりするという
新たな造語によるずらしをすることが多いと思うけれど、
それを古語ちっくな「まぐわい」としたところは、
詩人たる作詞者の工夫だったのではないかと思いました。

この場合はむしろシニフィアンの方をずらすことによって、
シニフィエを固定したのではないかと、今となっては思います。


2. 大阪方言

最近、ラジオで大阪方言の様々な変種を聞く機会があリます。

「大阪方言」と言っても、大阪で、大阪の
オーディエンス向けに喋っている時と、

東京あるいは全国ネットの番組で、
広い地域に散在するオーディエンス向けに喋っている場合とでは
違いがあるとは思うのですが、

後者の場合でも、中高年の「全国向け大阪方言」と、
二十歳前後の若いアイドルの「全国向け大阪方言」では、
後者の方がより関東(東京)共通語の影響を受けていると、
全くの部外者な私でも感じるところがあります。

どこが?と言う話は、今後ネタとして使わないとも限らないので、
今はバラさないでおきます。

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2021年2月13日 20:04に投稿されたエントリーのページです。

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