昨日のラジオで、
Knock on the Rainbow | STVラジオ | 2020/07/04/土 21:30-22:00 http://radiko.jp/share/?sid=STV&t=20200704213000
アメリカ合衆国、コロラド州で、90歳でカミングアウトした
お爺さんのことが話題になっていました。
radikoは、1週間しか聞けないけれど、
下のweb記事は、もうちょっと長い間読めると思うので
そちらをご参照ください。
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90歳のおじいちゃんがカミングアウト。
60年以上前の恋の思い出がそれを決意させましたhttps://gladxx.jp/news/2020/06/6460.html
90-Year-Old Man Comes Out as Gay While Recalling His One True Love
https://www.advocate.com/people/2020/6/23/90-year-old-man-comes-out-gay-while-recalling-his-one-true-love
Kenneth Felts came out as gay at age 90 -- and he's only just getting started
https://theknow.denverpost.com/2020/06/18/kenneth-felts-arvada-coming-out-pride-month/240633/
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90歳でカムアすること。
これは、パートナーがいて、その関係を
社会の中で認めさせたいというものではない。
また記事から読むに、政治的な立場の表明でも、
社会的に影響を与えたいということが主眼でもなさそうである。
じゃあ、なぜ今カミングアウトするのか。
それは、「真の自分を隠さずに生きる」ためとしか言えない。
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この、ケネスさんが若い頃には、
男性同性愛者が男性同性愛者らしく生活するということの
ロールモデルがいなかっただろうし、
ケネスさんは、同性の恋人との関係を捨てて、
異性婚をして、一児をもうけました。
でも、今となって、「自分史」的なものを書くに当たって、
カムアしなければ、若い時にあった、
同性との本気の恋愛に触れることができないと気付き、
カムアしたんだと思います。
随分前に、娘さんからはレズビアンだとカムア
されていたのに、でも、自分のこの過去の恋愛と
向き合うのには、さらに長い年月が必要だったようです。
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私はというと、総体的にホモフォビックな傾向のある
宗教団体での宗教活動の中ではカムアしていません。
でも、他の場所では、特に隠し立てしておりませんし、
ブログもこそこそと書いてはいません。
ただ、職場では、将来ホモフォビックな国、文化圏と
職業的に関わっていかなければならないクライアントさんたちも
いると思うので、
私のリベラルな政治的立場こそが「唯一の正しい立場である」というような
押しつけをする気はなく、
よっぽどお互いのことがわかっている関係以外の場では
話題にはしていません。
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ホモフォビックな(大小様々な)社会的集団の中にいると、
同性愛者に対して、
非当事者は様々な抑圧を、意識的、無意識的にしてしまいがちだし、
当事者も、言い返せなければ、その抑圧に甘んじることになります。
◯同性愛は認められない。
◯性行為は、異性の結婚したカップルの間でしか認められない。
◯同性愛的「傾向」があったら、それは治すべきである。
◯治らなくても、隠して異性婚するか、あるいは禁欲すべきである。
◯リベラルな、「LGBT+の解放」のような政治的主張は慎むべきである。
等々。
書いてて涙が出てきます。
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抑圧は、直接の糾弾というような激しい形を取らずとも、
周りに言いふらしたり(アウティング)、
また、軽く無視したり(マイクロアグレッション)、
様々な形で表面化します。
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同性婚が法制化された、米国ですら
こういうことが起きています。
ましてや「自称先進国」の中で、
LGBT+政策が最も遅れている我が国において、
LGBT+が生きやすい訳がありません。
我が国で、当事者でなくても、
リベラルな政治思想を持った人の間では、
LGBT+の権利を包摂することが主流になってはいます。
このことは、アライ(ally)など数えるほどしかいなかった
数十年前とは、隔世の感があります。
しかし、政治、社会全体が変わるには、
まだまだ時間が掛かりそうです。
その間にも我々は、どんどん歳をとって行くのですが。