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薬物報道からハッテンして

【音声配信】ピエール瀧さんに関する報道を受けて、荻上チキが「薬物報道」の重要ポイントを指摘▼2019年3月13日(水)放送分(TBSラジオ「Session-22」)

https://www.tbsradio.jp/349881

体調不良の荻上チキさんが、体調をおして、
このことを言いにラジオ出演しました。

まず、「現状」ではなかなか達成できていない、
薬物犯罪報道に関するすべきこと、避けるべきこと
というのが纏められています。

「薬物報道ガイドライン」

薬物報道ガイドライン|特定非営利活動法人アスク http://bit.ly/2JapScd

【望ましいこと】

・薬物依存症の当事者、治療中の患者、支援者およびその家族や子供などが、報道から強い影響を受けることを意識すること
・依存症については、逮捕される犯罪という印象だけでなく、医療機関や相談機関を利用することで回復可能な病気であるという事実を伝えること
・相談窓口を紹介し、警察や病院以外の「出口」が複数あることを伝えること
・友人・知人・家族がまず専門機関に相談することが重要であることを強調すること
・「犯罪からの更生」という文脈だけでなく、「病気からの回復」という文脈で取り扱うこと
・薬物依存症に詳しい専門家の意見を取り上げること
・依存症の危険性、および回復という道を伝えるため、回復した当事者の発言を紹介すること
・依存症の背景には、貧困や虐待など、社会的な問題が根深く関わっていることを伝えること
【避けるべきこと】

・「白い粉」や「注射器」といったイメージカットを用いないこと
・薬物への興味を煽る結果になるような報道を行わないこと
・「人間やめますか」のように、依存症患者の人格を否定するような表現は用いないこと
・薬物依存症であることが発覚したからと言って、その者の雇用を奪うような行為をメディアが率先して行わないこと
・逮捕された著名人が薬物依存に陥った理由を憶測し、転落や堕落の結果薬物を使用したという取り上げ方をしないこと
・「がっかりした」「反省してほしい」といった街録・関係者談話などを使わないこと
・ヘリを飛ばして車を追う、家族を追いまわす、回復途上にある当事者を隠し撮りするなどの過剰報道を行わないこと
・「薬物使用疑惑」をスクープとして取り扱わないこと
・家族の支えで回復するかのような、美談に仕立て上げないこと

薬物濫用からの回復の手助けをする団体には、

ダルク https://tokyo-darc.org
アスク https://www.ask.or.jp

があり、家族支援団体には、

薬家連 http://www.yakkaren.com/index.htm

があるとのこと。

今日以降の報道が、どんなものになるのか、
各メディア、お手並み拝見したいと思います。

荻上チキさんは、今日(2019.3.14)の22:00からも
TBSラジオSession 22で、薬物報道を取り上げる
そうです。

閑話休題。

ところで、話の腰を折り、
他人の褌で相撲を取ってる感満載ですが。

それに付けても、
「非主流派性的指向者(LGBその他)」だと
おぼしき人が犯罪などに関わったと思われるときの
各メディアの報道が、過去から、
センセーショナリズムに陥りやすかったなあと
思うのです。

「非主流派性的指向者(LGBその他)」は、
この国ではそれだけでは犯罪者となりません。
(他の国では、そうあるだけで、あるいは行為で
 犯罪となる場合があります。またその国には
 「いない」と政治家などが言表することがあります。)
しかし、我が国とて世間の偏見は根強いです。
また、犯罪は犯罪として話題にすればいいのであって、
その人の性的指向が、その犯罪に根源的に関わっている
場合以外、性的指向と絡めて犯罪を報道る必要性はないです。

上の「避けるべきこと」を援用すると、

・本人が自分の意思で化粧をしてきたのではないときに
青いアイシャドウを塗らせたり、異性装させたりしないこと。
(市橋氏のときにやっていました。)
・「非主流派性的指向者(LGBその他)」に対する偏見・蔑みを
煽るような報道にしないこと。
・「非主流派性的指向者(LGBその他)」の人格を否定するような
表現は用いないこと。
・「非主流派性的指向者(LGBその他)」の性的指向の原因を
探ろうとしないこと。
・「非主流派性的指向者(LGBその他)」の性的指向と犯罪との
関連を、必要以上に憶測・推測で語らないこと。
・気持ち悪い、家族にいたら殺す、友人だったら縁を切るといった
街録などを用いないこと。
・「非主流派性的指向者(LGBその他)」による犯罪をスクープとして
扱わないこと。
・当人によるカミングアウトが無い限り、そもそも話題にもしないこと。
・「非主流派性的指向者(LGBその他)」から主流派性的指向者に
転向したと主張する個人がいても、関連性が無いので取り上げないこと。

「望ましいこと」は、そもそも犯罪を「非主流派性的指向(LGBその他)」と
結び付けないことです。

また、「非主流派性的指向(LGBその他)」を(犯罪との絡みでなく)
話題とした報道・番組を作るときには、

・当事者と自称する人の「意見」を、全当事者の考えとして取り上げないこと。
・当事者が職業的に望んでいる場合以外、「非主流派性的指向者(LGBその他)」を
笑いの対象にしないこと。
・専門家を自称する人の「見解」を、全当事者をカバーできているものとして
安易に鵜呑みにしないこと。
・安易な一般化をしないこと。

この辺りの情勢は、社会的力学、政治的力学、(場合によっては宗教的力学)などの
様々な要因によって、刻々と変化するものなので、
いくら用心深くしても、用心深すぎるということはありません。

というわけで、ここでは、敢えて、「ここに聞けば大丈夫ですよ」
というリンクは張りません。

(検索のための他のキーワード: LGBT SOGI 同性愛)

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2019年3月14日 13:46に投稿されたエントリーのページです。

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