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日本語コピュラ文試考

日本語の「AはBだ」という文は、

「AスナワチB」という意味だと素朴に思っていたのだけど、
先日、「BスナワチA」という意味で使っている人に
出くわした。

とある組織で、規約を作っていたのだが、
「代表役員は、◯◯長である」
との条文が出てきた。

これを書いた人は、「BスナワチA」の意味で
使っていたので、これは以下のように直した:

「代表役員は、◯◯長がその任に当たる」

これで、曖昧さが回避された。

ところで、アイヌ語の「A B ne」文も
(「A (anakne) B ne」だったろうか?)
「BスナワチA」と解釈せざるをえないときがあると
O先生が言っていたのを思い出した。

もしかしたら、アイヌ語でも、どっちにも
取れる場合があるのかも知れない。

ところで、「AはBだ」にinchoativeを加えると
「A(は/が)B(に/と)なる」になる。

今日、ネット上を見ていたら、
「新しい勤務地が池袋になりました」
というのがあった。(固有名詞は改変済み)

これ、2項を入れ替えて、
「池袋が新しい勤務地になりました」
でも殆ど同じ意味になる。

(これは、テーマ・レーマの揃った
 カテゴリカルな「新しい勤務地は池袋になりました」と
 レーマだけのtheticな「新しい勤務地が池袋になりました」
 の両方にそれを「展開した文」として対応すると考えられる。)

素のコピュラ文だけでなく、
inchoativeなコピュラ文も、
「入れ替えられるのか!」と膝を打った。

英語に直訳調で訳してみると、

Ikebukuro became my new workplace.
は言えそうだが、却って

??My new workplace became Ikebukuro.
は言えなさそう。

inchoativeを除いて、

My new workplace is Ikebukuro.
なら言えそう。

(Ikebukuro is my new workplace.も
 言えそうである。)

日本語だと、素のコピュラ文でも
inchoativeなコピュラ文でも
「AスナワチB」と「BスナワチA」の両方に
使えるけど、言語によっては
そうはイカない場合もあるのではないかと
想像を逞しゅうしているところです。

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2016年5月 5日 21:08に投稿されたエントリーのページです。

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