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「なりたい職業」考

まあ、古典的な『僕はウナギだ』あたりから
議論され続けてきてることなんでしょうけど、

 「新小学生の"なりたい職業"、男子「スポーツ選手」
 女子「パン・ケーキ屋」が14年連続首位 ニュース-塾
 ・予備校・大学受験のオリコンランキング
 http://juken.oricon.co.jp/2009661/full/ @oriconさんから」

日本語って、換喩で意味を拡げたりずらしたりすることを
日常的にすることで、機能してるんじゃないかなと
ふと思ったり。

「なりたい職業」って、英語に直訳して、
"the profession that (s)he wants to become"は
意味をなさないしなぁ。

で、英語なり、欧米語なり風に、
「論理的に」日本語の方を手直しすると、

「なりたい職業人」
「就きたい職業」

ぐらいになってしまう。
でもやっぱり、日本語としては、

「なりたい職業」

が「論理的でなくても」一番しっくりくる。

そう言えば、ちょっと前に、
東京メトロが貼っていた広告に
こんなのがあった。

「痴漢は犯罪」

これもやっぱり、「人」と「行為」の
意味的な捻れがあります。

そこを論理的にしちゃうと、

「痴漢は犯罪者」
「痴漢行為は犯罪」

でもやっぱり、非論理的な

「痴漢は犯罪」

が一番しっくりくる。

話は飛ぶが、そこが多くの形容動詞の
存在の根幹にも関わっているような
気もする。

以前、ドイツ語専攻の同級生が、

「私は病気です」

の独訳を指示された学生が、

"Ich bin Krankheit."

と翻訳して失笑をかったという
まことか、都市伝説かわからない
逸話があったが、

これは、英訳すれば、

"I am sickness."

やっぱりもれなく失笑をかうであろう。

「私は病んでいます」 も
「私は病気を持っています」 も
「私(の正体は実)は病気です」 も

「私は病気です」

で表現できてしまう、この日本語の柔軟さ。
これは結構大事なポイントなんじゃないかと。

件の「人魚構文」の発達にも繋がっているんじゃないかと
ちょっと思ったりしたのであります。

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2012年4月 4日 23:47に投稿されたエントリーのページです。

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