広告であるが、
いきなり
「世界から厳選した麦芽の、ほのかな香ばしさ。
チェコ産ファインアロマホップ一部使用で、
すっきりとした後味。
サッポロ 金のオフ。」
と、トピック(テーマ)を出さずに本文は始まる。
広告自体が、亜ビール「サッポロ 金のオフ」に
ついてなので、それがトピックになっている。
しかし、言語の線状性から鑑みた話線上では、
トピックは出てきていない。
最終行には、ソレは出て来ているが、
これを、後方照応と言う必要はないであろう。
寧ろ、「広告の言語」において、
「何について語っている」かがわかっているので、
あえてそれをゼロ照応して際立たせている(=異化している)
と考えた方がすっきりする。
話線上の前後というわけではなく、
広告全体のトピックであるので、それを「何も無いモノで」
照応し受けている。
<コメ返>
あ、僕のコトバですけどね。
広告でない、通常の言語では、「何に付いて語るか」ということは
割と早く出て来ちゃうんです。
それを敢えて出さない。後から出すというのが
緊張感を高めて(=異化して)
広告の効果を高めているんですね。
なお、異化 vs. 自動化とは、ロシアのシュクロフスキー
および、彼の直後のチェコのハブラーネックが
主張していた概念です。
日常に溶け込んでしまって、関心を引かなくなるのが
自動化で、その中で、関心を引くようにする装置が
異化です。