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先行詞の無い「前方照応」について

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広告であるが、

いきなり

「世界から厳選した麦芽の、ほのかな香ばしさ。
 チェコ産ファインアロマホップ一部使用で、
 すっきりとした後味。

 サッポロ 金のオフ。」

と、トピック(テーマ)を出さずに本文は始まる。

広告自体が、亜ビール「サッポロ 金のオフ」に
ついてなので、それがトピックになっている。

しかし、言語の線状性から鑑みた話線上では、
トピックは出てきていない。

最終行には、ソレは出て来ているが、
これを、後方照応と言う必要はないであろう。

寧ろ、「広告の言語」において、
「何について語っている」かがわかっているので、
あえてそれをゼロ照応して際立たせている(=異化している)
と考えた方がすっきりする。

話線上の前後というわけではなく、
広告全体のトピックであるので、それを「何も無いモノで」
照応し受けている。

<コメ返>

あ、僕のコトバですけどね。

広告でない、通常の言語では、「何に付いて語るか」ということは
割と早く出て来ちゃうんです。

それを敢えて出さない。後から出すというのが
緊張感を高めて(=異化して)
広告の効果を高めているんですね。

なお、異化 vs. 自動化とは、ロシアのシュクロフスキー
および、彼の直後のチェコのハブラーネックが
主張していた概念です。

日常に溶け込んでしまって、関心を引かなくなるのが
自動化で、その中で、関心を引くようにする装置が
異化です。

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2011年9月30日 22:26に投稿されたエントリーのページです。

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