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業界の構造的ダンピング

個々の業界が構造的に集団的ダンピングをする
はめになって、市場規模が縮小してしまうということがあります。

その典型は、歯科技工業界。

わが父は、歯科技工士として勤め上げ、
今は、83歳の引退生活を送っています。

父の最盛期には、僕の賞与よりかなり多い、
100万円超の賞与を取っていました。

でも、今、父の元居た会社での
賞与は、半月分程だとのこと。
その基本給もかなり低いとのこと。

これには、ある時期、特に個人営業の
歯科技工士が、1日の労働時間を長くして
工賃を下げることによるダンピングをし始めて、
それが業界全体の工賃低下につながり、
業界の市場全体の縮小へと繋がっていったとのこと。

貴金属その他の高価な資材を使っており、
また「隣接領域」の歯科医師が
高給取りであることを考えると、
なんとも皮肉な市場縮小と給与低下と
残業の恒常化による労働強化と
なっています。

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市場規模がまだまだ小さく、
主に「公費」を増やしていくことによって
市場拡大をすることが必要な業種もあります。

その1つが、手話通訳業界。

身近な人脈の中には、日本手話通訳の専門教育を受け、
高度な技術を持ち、高水準の時給を要求できる人もいます。

その一方で、世間一般は、「手話通訳ってボランティアでしょ?」
と考えている節もある。

技術の高さにピンからキリまであるので、
纏めてもらっては困るのであるが、
世間一般は「ボランティアでしょ?」と思っている。

そんな意味で、手話関係者の端くれとして、
今年初頭に「ボランティア通訳を探してくれ」との
依頼を受けたときには困ってしまった。
まあ、逡巡もせずにすぐに断りましたが。

その後、ボランティアな通訳が見つかったという
話を聴いては、少しく苦々しい思いを噛み締めていました。

手話通訳「業界」こそ、技術を高めることと、
公的資金等の充当のし易さを高めることによって
市場規模を大きくしなければいけない業界の1つです。

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2011年4月18日 20:39に投稿されたエントリーのページです。

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