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放射能が胎児に与える影響(科学的根拠)

旧友、在スウェーデンの山内正敏博士からのメールをご紹介します。

<ここから>

厚生労働省もマスコミも、一番放射線に弱いとされる妊婦に関して、どこまでが危険か書いていません。

そして、どこまで放射線レベルが上がったら行動を起こすべきかも書いていません。危険値を語らずに『安全です』といってもそれは情報とは全く言えないものです。

そこで、簡単に調べてみました。
先ず第1に、国立放射線研究所のサイトでは妊婦(妊娠2~15週間)も100ミリシーベルト以下で大丈夫と書いていますが、これについては正確なデータはなく、確実に安全なのは総量で5ミリシーベルト以下です。これは2009年のレビュー論文から拾えます。

http://bit.ly/h42G9r

ここまでが安全という数値と、ここからは危険かもしれないという数値はこのくらい違っていて、残りはグレーゾーンです。現にアメリア政府のサイト
http://www.bt.cdc.gov/radiation/prenatal.asp
では『レントゲン500回分』(ほぼ同じ)で影響が明らかに出始めると正しい表現をしています。ではどのくらいが妥当な線引きかというと、
論文の図4にあるように、総量(何ヶ月分の総量かは分かりませんが)10~30ミリシーベルトあたりと見積もるのが妥当です。

これは総量であって、測定値と比較するには一時間あたりという取り方をしなければなりません。気がついてから脱出まで半日かかるとして、かつ状況が刻々と悪くなる事を考慮すれば、100時間で割るのが妥当で、それは100~300マイクロシーベルト/時という値です。これが妊娠中の人(あるいは妊娠かどうか分からない人)が緊急脱出をすべきレベルです。でも、そうなってからの脱出はパニックであり、その前に1割以下の量(30マイクロシーベルト/時)を超えた段階で行動を開始するのが無難と云うことになります。逆に言えば、その更に1割以下(3マイクロシーベルト/時)である限り、取りあえずは安心してよい事になります(東京ではもっとパニックが酷いでしょうけど)。

ちなみに大人の場合はこの10倍まで大丈夫という事になります。

この程度の情報を出せない厚生労働省は何をしているのでしょうねえ?

山内

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2011年3月18日 11:20に投稿されたエントリーのページです。

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