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ことばつれづれ

「新築マンション、分譲マンションを詳しくご紹介するアットホームなら、
 お好みのマンションがきっと見つかります。」

という宣伝文句。

述語動詞「見つかります」に対して、
「アットホームなら」は、
主題としての表示(-なら)はあるが、
格表示は無い。
さしずめゼロ格付加語句だろうか。
(角田太作先生式に言えば状況語。)
ここで、「所格(で格)」助詞が
隠れているという考え方は、
私はしたくない。
ゼロ格付加語句は、結構頻繁に
使われているというのが
私の最近の感触なのである。

--

"I love you" "I know"

というやり取り。

http://bit.ly/em5Ey7 (youtube)

その前に、河野六郎先生が言うように、
単肢言語である日本語とは違って、
英語を含む両肢言語では、
主語が、動詞に人称・数標示されるなり、
節中の項が名詞、代名詞で義務的に
表現される。
同じことに関して、松本克己先生は、
北西ヨーロッパの諸言語が
言語同盟(言語領域)的に、
やはり上記のような主語の義務的標示が
持つことを指摘している。

そのような義務的標示が
英語では、主語のみならず、
目的語にも当てはまるのではないかと
英語学の門外漢ながら考えてきた。

発端は、とある、英・日カップルの
場当たり的混成言語における
不自然な表現を聞いたことである。

日:"You like?"
英:"Yeah, I like."

これは、標準英語なら"Do you like it?"と
されるところだが、助動詞"do"の使用も無く、
極性疑問文における主語と動詞の倒置も無く、
また、義務的に表現された目的語"it"も無い。

ということから、この目的語"it"も
必須なのではないかと思い至ったのである。

確かに、"like"を目的語無しで
使用するのは不自然そうである。

一方、本来他動詞でありながら、
目的語が常に必須ではない動詞もある。

A: "Have you eaten?"
B: "Yeah, I have eaten already."

これに関して私は、目的語は必須でないので
省略されたとは考えない。
目的語を採る他動詞構文から
逆受動ボイス派生的に目的語が消去されて、
動詞"eat"は、「Oを食べる」ではなく、
「食事する」というような意味に
変わっている。

などと考えていたところに、
冒頭の

A: "I love you."
B: "I know."

を聞いて、それまでの下手な考えが
ぐらついてしまった。

確かに、"I know"ではなくて、"I know it"と
ここで言ったら強過ぎる。
それでは、"I know"では、pro dropあるいは
ゼロ前方照応が使われているのであろうか。
それとも、名詞、代名詞といった補語ではなく
「補文」は省略できるのであろうか。
それとも、"eat"のときと同じように、
これも、逆受動ボイス派生の結果なのだろうか。
この辺りは、更なる例文の収拾と、
先行文献の精査が必要であろう。
(後者を英語に関してやる自信は無いが。)

--

今日、ラジオでパーソナリティーが、
「大人だけのドラえもん」
と言ったとき、母音音素/o/が、
前舌母音[o]で実現していた。
(半狭母音よりはちょっと広めであったが。)
[otona dake no do?aemo?]
のような感じで。

音象徴的に、有標なニュアンスを添えるものではあるが、
[o]もまた母音音素/o/の異音であることを
目の当たり(耳の当たり?)にした瞬間であった。

[o]や、[?]は、フランス語のものは母音「ウ」で、
ドイツ語のものは母音「エ」でカタカナ化するのが
慣しであったが、「オ」でもいい場合もあるのではないかと
ふと思いました。
因みに職場近くのHotel Grandeur [ot?l g???d???]は、
「ホテル・グランドール」とカタカナ化してます。

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2011年3月 2日 17:37に投稿されたエントリーのページです。

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