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動詞の連用形の名詞化について

日本語の動詞の連用形は、
動詞の屈折形であり、
あくまでも動詞である。

連用形と同形の形式が名詞として
用いられる場合に関して厳密には、
形態論的変換(morphological conversion)あるいは、
ゼロ接辞付加(zero affixation)によって
「名詞化」されたと考えなければならない。

さて連用形と同形の出動名詞(deverbal noun)は、
まずは行為名詞(コト名詞 event noun)であり、
そこから換喩?メトニミーによって、
項名詞(ヒト・モノ名詞 argument noun)や、
付加語句名詞(ジョウキョウ名詞 adjunct noun)へと
意味の守備範囲を拡げていく。

さて、そのような行為名詞であるが、
安定しているものとそうでないものがある。

「あわれみ」は「あわれむ」の行為名詞として
定着している。

「連れ」は「連れる」の目的語名詞(項名詞の
一種)として定着している。

「はさみ」は「はさむ」の道具名詞
(付加語句名詞の一種)として定着している。
(意味的にずれてきているが。)

さて、そのような、定着した名詞用法の
無いと言われることがある動詞連用形もある。

「炒める」の連用形「炒め」はそのままでは
行為名詞(炒めること)としても
目的語名詞(炒めたもの)としても使いにくい。

中華料理屋では、「何々の炒め」という
料理名が使われている。
例えば、「豚肉と野菜の炒め」。
これに違和感を感じる日本人がいるとすれば、
日本語の標準変種では、「炒め」だけでは
名詞用法が定着していないが、
中華料理店社会方言では定着しているのかも知れない。

しかし、この「炒め」も、何らかの形態論的あるいは
統語論的支えがあれば、標準変種話者にも
違和感は無くなるか、あるいは少なくなる。

例えば、複合させて、「野菜炒め」とすれば、
違和感は無い。

また、文の中に置かれて、
「この豚肉はもうちょっと炒めが必要ですね」
と言えば、容認度が上がるのではなかろうか。

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2010年11月24日 21:19に投稿されたエントリーのページです。

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