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異化・自動化、その後

千野栄一先生が紹介した、「異化(アクトゥアリザツェ」と
「自動化(アウトマティザツェ)」について、
複数の方から、いろいろなご指摘がありました。

シュクロフスキーの用語であろうという説を
複数の方からいただきました。

また、今授業に来てくださっている学生Hさんから
 「アウトマチザツェ」と「アクトゥマチザツェ」は
  プラーグ学派のボフスラフ・ハブラーネック
 『標準チェコ語と言語文化』1992、52-54頁による
  術語だそうです。『言語学フォーエバー』のゴキブリ
  ラーメンのとこに書いてありました。
とのメールをいただきました。

1992年というのは、1932年の誤りです。

この「元祖ゴキブリラーメン考」は、雑誌
『伝統と現代』の1977.5 No.45が初出で、
その後、千野先生の『言語学のたのしみ』に
再録されています。それがまた、『言語学フォーエバー』
に再々録されています。

千野先生は、ちゃんと出典を書いていらっしゃったのに、
書いていないなどと、私は中傷めいたことを
書いてしまいました。大変申し訳ありません。

ということで、チェコでは、1932年のハブラーネックに
辿り着きました。

一方で、(私は知らなかったのですが、)実は
広く知られていたシュクロフスキー。
シュクロフスキーその人に関する書籍ではありませんが、
山中桂一『ヤコブソンの言語科学1 詩とことば』の中に
シュクロフスキーの自動化 avtomatizm、異化 ostranenie
という用語として紹介されています。

シュクロフスキーの論文は、
1917年頃に発足した、オポヤズという研究会の
同人誌『詩的言語理論論集』の一輯あるいは二輯に
おそらく収められ、その後『詩学』という表題の
もとに1919年に公刊されたとのこと。

どの雑誌あるいは、どの書籍のなんという論文に
提出された概念かはちょっとわかりませんが、
おそらくは、1917年と1919年の間のことであり、
ハブラーネックの1932年よりは十数年先んじて
います。

シュクロフスキーと、ハブラーネックの間に
どんな関係があったのか。
ヤコブソンが、その橋渡しをしたのか否か。
また、シュクロフスキーと、ハブラーネックの
それぞれの説の間に、決定的な相違などは
あるのか、無いのかなどは、私の手には
あまることです。

でも、なんらかの関係がありそうです。

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2009年7月26日 16:19に投稿されたエントリーのページです。

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