2012年度「ゼミ指導教員が推薦する優秀卒業論文」として
秋保友美さんの卒論 「女帝エリザヴェータ~その二面性と文化発展における功績~」 が本学ホームページに掲載されている。
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http://www.tufs.ac.jp/insidetufs/kyoumu/doc/yusyu24_04.pdf
ロシア史では、ピョートル大帝とエカテリーナ2世はその業績(プラス面もマイナス面も含めて)がさまざまな角度から論じられるが、この2人の間に在位したエリザヴェータ女帝(在位1741~1761)は、えてして「お洒落で気まぐれなだけの女帝」というステレオタイプで見られがち。この論文は、そうしたステレオタイプにとらわれずになるべく客観的にエリザヴェータを評価しようと試みたものだ。
その結果、エリザヴェータは、モスクワ大学を設立して学問の振興をはかり、演劇や音楽の分野の発展に寄与し、死刑制度を廃止するなど、後世に大きく影響する数々の功績を残した。つまりロシア文化の発展という観点からすると多大な貢献をした。エリザヴェータは西欧的でもロシア的でもある二面性を持ち、外交的には西欧路線をとり、精神面ではロシア的なものを残すという、ある意味で合理的なバランスのとれた政治をしたのではないかとの結論が導かれた。
秋保さんは、3年ゼミの授業でユーリイ・ロトマンの『ロシア貴族』を精読し、その演劇性についてプレゼンテーションをする中でエリザヴェータ女帝と出会い、卒論へと、とてもいい形で発展させたと思う。