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新着情報東京地方検察庁との連携による「東京地方検察庁見学及び裁判傍聴」を開催しました

2018.05.31

東京地方検察庁との連携による「東京地方検察庁見学及び裁判傍聴」を開催しました

東京外国語大学多言語・多文化教育研究センターは、平成29年度から東京地方検察庁と連携・協力をする旨の覚書を締結しており、検察の通訳人に関する説明会や、「通訳を介した模擬裁判」などを開催することで、協働で通訳者の育成を行っています。
5月25日(金)には、本学卒業生等が登録している「言語文化サポーター」を対象に、東京地検の見学や、裁判の傍聴などを行うイベントを実施し、10人が参加しました。
最初に東京地方裁判所で、通訳人を介した裁判を2件傍聴しました。法廷の中で通訳人を介して裁判が進む様子を実際に見ることで、通訳人の重要性を認識できたのではないかと思います。特に2件目の裁判は裁判員裁判で法廷にいる人数も多く、英語が母語ではない被疑者と証人に対する英語の通訳でしたので、通訳人には高い技術が求められると感じました。
そのあとは東京地検公安部の下平副部長から検察の仕事について説明を受けたり、模擬取調室を見学したりしました。副部長からは、「来日する外国人が増えると、犯罪の被害者になったり目撃者になったりすることもあるので、外国人犯罪が増加しなくても通訳人の需要が年間1000件ずつ増えている状況にあります。」「被疑者が話をはぐらかしている場合に、検察の質問に対してピントがずれていることを言っていても、それが重要なのでそのまま訳してほしい。」「検察側にも被疑者側にもつかず、公正中立に通訳してほしい。」といった説明があり、参加者からもたくさんの質問が出ていました。最後に法務史料展示室で、司法の近代化の歴史などについて史料を見ながら説明していただきました。

 ▼「東京地方検察庁見学及び裁判傍聴」報告はこちら(PDF)

〇日時:平成30年5月25日(金) 13:00-16:30

〇場所:東京地方検察庁(東京都千代田区霞が関1-1-1)、東京地方裁判所(同 1-1-4)

〇内容:
13:00-14:30 東京地方裁判所において裁判傍聴(2件)
14:30-15:20 検察の通訳人についての説明(広報用DVD「検察の役割」視聴含む)
15:20-16:00 模擬取調室の見学、質疑応答
16:00-16:30 法務史料展示室見学

〇参加者感想:
・私は2年前の中国人留学生が殺害された事件をきっかけに、司法通訳に興味を感じました。本日はその中の一つである捜査通訳というニッチな分野に踏み入れることができ、模擬取調室の被疑者席にも座れ、普段の生活から想像できない貴重な初体験が数多くできました。通訳である以上、正確に訳さないといけないとの認識がありましたが、司法通訳における「正確」の意味は被疑者の言葉を一語一句漏らさず加えずにそのままに訳すことが正確であるとの認識が一層深まりました。
・短時間の研修にも関わらず、3つの内容が扱われ、非常に有意義な研修であった。特に、現役の検察官から話を聞けるのは、またとない機会であった。司法通訳と聞くと専門用語だらけかと思いがちであるが、実際に見学してみると、裁判での通訳も検察での通訳もそうした用語はさほど使われず、むしろ、日常の出来事を正確に訳す逐次通訳力が通訳人には求められていることがわかった。また、司法通訳の場合はどのような内容の話が出てくるのかわからない。その点においても、求められる通訳技術は高度なものであるといえよう。