Habenについての考察

6200332:三輪順平

使用したコーパス:

Korpus: mmm Mannheimer Morgen 1989, 1991, 1994-2001

Suchanfrage: Zimmer &haben (59 Treffer)

Korpus: frr Frankfurter Rundschau 1997-1999

Suchanfrage: Zimmer &haben (71 Treffer)

 

考えたこと:「ドイツ語の存在・所有構文について」の1.1 X(主語)が無生物で、Y(目的語)も無生物の場合で、両者が無生物の場合にどのような制限事項があるかを考えた。

 

主語と目的語の選定:資料では、主語がdas Zimmerで目的語がhabenだったので、今回の分析においても、同様に主語と述語の設定を行った。

 

<結果>

資料には、「主語と述語の間に強い関係(Teil-von-Relation)がある」、つまり目的語が主語の構成物であれば無生物の主語が無生物の目的語を取ることができるとあった。しかし、以下のコーパスを分析すると、必ずしも主語と述語の間に強い関係(Teil-von-Relation)がなくても、ドイツ語では無生物の主語が無生物の目的語をとりうる事がわかった。

(T)M89/908.31066: Um die 30 Quadratmeter bieten die Einzimmer-Appartements; die Zwei-Zimmer-Wohnungen haben eine Größe von 47 bis 59 Quadratmeter部屋の大きさを規定).

(U)R97/JUN.49432 Frankfurter Rundschau, 28.06.1997, S. 8, Ressort: REISE; ANREISE: Die Zugfahrt von Frankfurt a.M. nach Husum und zurück dauert im ICE:Die Zimmer haben teilweise Dusche und WC - auf den Halligen keinesfalls eine Selbstverständlichkeit.部屋の構成物)

(V)R98/MAI.42921 Frankfurter Rundschau, 30.05.1998, S. 1, Ressort: ZEIT UND BILD; Eine Reise zur Teufelsaustreibung in Oberitalien:Die Zimmer haben Blick auf den See, bunte Boote dümpeln am Ufer.部屋の景観を特徴づける)

(W)R98/SEP.69707 Frankfurter Rundschau, 01.09.1998, S. 25, Ressort: FRANKFURTER STADT-RUNDSCHAU; : Welche Nummer ihr Zimmer hat, weiß sie nicht. ne, statt dessen aber Erker.部屋番号)

(X)R99/JUL.56729 Frankfurter Rundschau, 17.07.1999, S. 6, Ressort: REISE; Eine spanische Herberge mit Familienanschluß in Kantabrien:Jedes Zimmer hat seinen eigenen Charakter und sein eigenes Bad.部屋に個性がある?!)

事例Uにおいては、資料にあったように、目的語が主語の構成物になっている。しかし、たいていの部屋には窓がついているので、窓ごときが構成物になるかと考えた。しかし、TとVを考えるとTは部屋の大きさ、Vは部屋から海が見ることができるといっている。Tの部屋の大きさはもしかすると慣用的表現かもしれないが、Vに関しては「部屋から海が見ることができる!!」という一般の部屋には見ることのできない特徴を示している。

よって無生物の主語を目的語が特徴づけする場合には、habenの主語と述語が両方とも無生物でも良いのではないか。特にXにおいては、部屋がCharakter、つまり個性そのものを持っていると考えているので、この推論は当てはまるのではないだろうか。

しかし、事例Wに関しては評価が難しい。部屋番号を人に聞くとき、普通は“Welche Zimmernummer haben Sie?“と聞きそうである。この用法に関しては、ネイティブスピーカーに聞いてみるしかないであろう。

これまで「ドイツ語の存在・所有構文について」の1.1 X(主語)が無生物で、Y(目的語)も無生物の場合で、両者が無生物の場合にどのような制限事項があるかを考えたが、推察としては、「無生物の主語を目的語が特徴づけする場合には、habenの主語と述語が両方とも無生物でも良いのではないか」ということになったが、これにはコーパス上の欠陥があるように思える。それはここにのっているほとんどが新聞の住宅情報欄にあたる記事なのである。もしかしたら、住宅情報など、部屋の情報が何よりも優先される場合にのみ使われる用法なのかもしれない。